
海洋生物の調査研究
単生類は魚類の体表や鰓に寄生する数ミリサイズの寄生虫であり、大量に寄生すると宿主の健康に大きな影響を及ぼします。水族館では、単生類に寄生された魚を短時間淡水に浸ける方法(淡水浴)による駆虫が広く行われます。しかし、この手法は淡水環境に極めて弱い魚種、例えば一部の無顎類(ヌタウナギの仲間)や板鰓類(サメ・エイの仲間)には使うことができません。多様な魚類を飼育する水族館では、淡水浴を用いることができない魚にも適用可能な治療法の開発が求められていました。
沖縄美ら島財団は、「サメの人工子宮」開発の一貫として、2021年にサメの胎仔を母体外で育成するための溶液(人工羊水)を作成しました。この溶液は、淡水・海水・尿素を一定の割合で混合したもので、サメの血漿に似た化学的特性を持ちます。その後、この溶液が寄生性単生類の駆除にも有効である可能性が示唆され、淡水・海水・尿素の混合比を変えることで、より効率的に単生類を駆除できる溶液(尿素水)の作成に成功しました。
本技術は既に沖縄美ら海水族館でのムラサキヌタウナギの治療のために用いられています。当財団は、飼育生物のより良い福祉の実現を目指し、調査研究を通じて新たな飼育技術の開発に取り組んでまいります。
Taketeru Tomita, Hiroko Takaoka, Nozomi Hanahara (全て財団職員)
Urea water bath: A novel treatment for monogenean parasite infections in hagfish
MethodsX
https://doi.org/10.1007/s10641-026-01907-8
https://doi.org/10.1016/j.mex.2025.103518
※本技術は淡水浴が適用できないヌタウナギ類や板鰓類に対する安全な寄生虫駆除方法として、特許を取得しました(特許第7866821号)。

ムラサキヌタウナギの治療前(左)と治療後(右)の比較写真。白い斑点が、寄生性単生類。(図は論文https://doi.org/10.1007/s10641-026-01907-8 より引用)
Copyright (c) 2015 Okinawa Churashima Foundation. All right reserved.