海洋生物の調査研究
ザトウクジラは夏に餌を食べるためロシアやアラスカなどへ、冬になると繁殖や子育てのため沖縄や小笠原、ハワイなどへ回遊を行います。沖縄周辺では例年12月終わりから4月はじめ頃にかけて本種を対象としたホエールウォッチングが行われており、ザトウクジラは冬季観光産業を支える重要な資源となっています。当財団では国内外の研究者や地元の方々と協力し、ザトウクジラの生態や資源状態を調査しています。
識別番号R-468 伊江島北西沖にて
発見したアカウミガメ(上段)とタイマイ(下段)
識別番号R-444 伊江島北西沖にて
伊江島南東沖を泳ぐ親子クジラ
伊江島南西沖を泳ぐ2頭のザトウクジラ
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:-
本 部:8群15頭(親子クジラ:1群)
那 覇:8群14頭(親子クジラ:4群)*提供情報
今日の本部海域の調査では、島しょ間の浅いエリアで親子クジラが確認され、より沖合のエリアではシンガー(注1)や2頭群、4頭の競争集団が多く確認されました。沖縄海域では、新生児を連れたメスのクジラは島間や岸寄りの浅いエリアで子育てをし、それ以外のクジラはより沖合のエリアで交尾等の繁殖行動をしている可能性がこれまでの研究結果から示されています(参照:http://churashima.okinawa/ocrc/marine_organisms/report/1526954148/)。注1:ソングと呼ばれる特徴的な鳴き声を発しているオスクジラ。ソングは、オスの繁殖に関連した行動とされています。
本日遭遇したオキゴンドウとシワハイルカ
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:9群18頭(親子クジラ:3群)
本 部:14群27頭(親子クジラ:1群)
那 覇:11群24頭(親子クジラ:5群)*提供情報
今日は、本部海域の伊江島北西沖で、ザトウクジラと一緒に泳ぐ約10頭のオキゴンドウを発見しました(写真:上段)。また、その数時間後には、少し離れた場所でシワハイルカ数頭の群も発見しました(写真:下段)。このように、時折ザトウクジラの調査中に他の鯨類を発見することがあり、この他にも、マダライルカ、バンドウイルカ、コビレゴンドウなどのハクジラ類がよく観察されています。こうしたザトウクジラ以外の鯨類との遭遇も調査中の楽しみのひとつです。
勢いよく浮上するザトウクジラ
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:5群15頭(親子クジラ:2群)
本 部:12群22頭(親子クジラ:1群)
那 覇:15群27頭(親子クジラ:10群)*提供情報
本日の本部海域の調査では、4頭の競争集団が確認されました。発見した際には時折荒々しく噴気を上げながら泳いでいましたが、観察している内に1頭、さらに1頭と減っていき、最終的に2頭の群になりました。沖縄周辺で観察されるザトウクジラの群の頭数は、2頭、1頭、3頭…の順に多く、稀に10頭ほどの群れが確認されることもあります。数日間続けて同じ個体同士が一緒にいることもありますが、多くの場合は、数時間、数日間のうちに離れ、また別の個体と群を形成していることが、これまでの調査からもわかっています。
伊江島南西にて観察された2頭
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:8群18頭(親子クジラ:6群)
本 部:11群20頭(親子クジラ:2群)
那 覇:7群13頭(親子クジラ:5群)*提供情報
本日の本部海域の調査では、2頭で一緒に泳ぐクジラの群れが多く確認されました。これまでの研究結果から、沖縄本島周辺では1月下旬~2月下旬にかけて、オスとメスの2頭群や3頭以上の競争集団(メスとの交尾の機会をめぐり複数のオスが争っているとされる雌雄混合群)が多いことがわかっており、この時期が沖縄の交尾ピークシーズンではないかと考えられています (参照:
http://churashima.okinawa/ocrc/marine_organisms/report/1523339385/)。
識別番号R-8 「Z(ゼット)」 慶良間海域にて
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:10群16頭(親子クジラ:3群)-
本 部:-
那 覇:12群24頭(親子クジラ:5群)*提供情報
今日から慶良間海域での調査も開始となりました!本日の慶良間海域では、識別番号:R-8が確認されました(写真参照)。このクジラは当財団が調査を開始した1991年に初めて慶良間海域で確認されてから、毎年のように沖縄周辺への来遊が確認されています。また、尾びれ右側にアルファベットの「Z(ゼット)」のような模様があることから、広く「ゼット」の愛称で親しまれています。「ゼット」は、その認識しやすい模様と目撃回数の多さから、沖縄や奄美海域で最も有名なザトウクジラの内の1頭としても知られています。また、沖縄美ら海水族館では「ゼット」の尾びれ模様がプリントされたオリジナルトートバッグを絶賛新発売中です!(水族館ザトウクジラ関連情報→ https://churaumi.okinawa/topics/1643874593/)
識別番号R-1000 伊江島南西沖にて
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:-
本 部:12群18頭(親子クジラ:1群)
那 覇:8群13頭(親子クジラ:2群)*提供情報
本日、伊江島南西沖で確認された写真のクジラ(識別番号:R-1000)は、2010年に沖縄本部海域で初めて観察されました。その際は、体の大きさが大人のザトウクジラと比べると少し小さく、生まれてから数年以内の未成熟個体として記録されています。ザトウクジラは、オスもメスも10歳前後で成熟する(大人になる)といわれています。今年で少なくとも12歳以上になるこのクジラは、今日は大きく成長した体で、テールスラップ(尾びれで海面を叩く行動)をしたり、元気な姿を見せていました。
識別番号R-96 伊江島南西沖にて
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:-
本 部:11群19頭(親子クジラ:1群)
那 覇:13群26頭(親子クジラ:4群)*提供情報
本日の本部海域の調査では、写真のクジラ(識別番号:R-96)が確認されました。このクジラは1994年に沖縄海域で初めて観察され、その後も何度も来遊が確認されています。これまでに仔クジラ(その年産まれの0歳児)を伴った母クジラとしても確認されたことがあり、メスのクジラであることがわかっています。
テールスラップするザトウクジラ 本部半島沖
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:-
本 部: 4群8頭(親子クジラ:2群)
那 覇: 9群17頭(親子クジラ:2群)*提供情報
今日の本部海域の調査では、沖縄美ら海水族館からも見える岸から近い範囲に複数のザトウクジラの群を発見することができました。ブリーチ(ジャンプ)をしたり、テールスラップ(尾びれを水面に叩きつける行動)をしたり(写真参照)アクロバティックな行動が多く観察された一日でした。沖縄周辺には、例年1~4月初旬頃まで多くのザトウクジラが来遊します。この機会に、ぜひ海や陸からホエールウォッチングを楽しんでみてはいかがでしょうか?
尾びれを上げて潜る2頭 伊江島北沖にて
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:-
本 部: 4群8頭(親子クジラ:1群)
那 覇: 13群27頭(親子クジラ:4群)*提供情報
今年もザトウクジラ調査を開始しました!当ページでは、沖縄周辺で確認されたザトウクジラの発見情報を随時報告していきます。那覇周辺海域の発見情報は、ホエールウォッチング事業者の皆様よりご提供いただいております。いつもご協力ありがとうございます!今年もよろしくお願いいたします!
ザトウクジラは体長12~14m、体重30~40tほどになる大型ヒゲクジラ類の一種で、頭部にみられるこぶ状の突起や長い胸びれが特徴です。世界中の海に生息していますが、季節ごとに餌場と繁殖場を回遊しており、とくに北太平洋では、夏になるとロシアやアラスカなどの冷たい海でエサを食べ、冬になるとハワイ、メキシコ、沖縄、小笠原などの暖かい海で繁殖・子育てをします。沖縄沿岸では例年12月終わりごろから4月の初めにかけてよく観察され、慶良間諸島、本部半島周辺、那覇市周辺などで本種を対象としたホエールウォッチングツアーが盛んに行われています。
ザトウクジラは尾びれ腹面の模様や形状が人間の指紋のように1頭1頭異なります。尾びれの色が真っ白いもの、真っ黒いもの、白黒混ざったものや、同じ黒い尾びれでも後縁のギザギザの形状が各個体で異なるなど様々です。この特徴を生かし、世界各地でザトウクジラの尾びれ写真を使用した個体識別が行われています。
当財団では沖縄のザトウクジラの資源状態や生態を把握するため、30年以上にわたり調査を継続しています。慶良間諸島周辺や本部半島周辺で収集した尾びれ写真の個体識別により、これまでに約1,800頭を識別しています(2022年現在)。この情報をもとに来遊頭数の推定を行ったり、国内外の研究者や地元の方々と協力しながら回遊経路の解明に努めています。また、その調査結果を地元のホエールウォッチング事業者の方々や子供たちに伝える活動なども行っています。
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