
海洋生物の調査研究

図:多頭育成用に作成したサメの人工子宮装置の外観
サメは、その約6割の種類が、母体から赤ちゃん(胎仔)として生まれてきます。沖縄美ら島財団では、2017年より早産したサメの胎仔の救命を目的とした、「サメの人工子宮装置」の開発を行ってきました。その結果、2021年には、世界初となる深海ザメの一種であるヒレタカフジクジラの胎仔の5ヶ月間の育成と人為出産に成功しました。その後も、人為出産後の海水環境への馴致法の開発や、装置の小型化など、より安全で汎用性の高い装置を目指して改良を行ってきました。
今回、私たちは、複数の胎仔を一つの容器で育てる「多頭育成」が可能な装置の開発を行いました。多頭育成の難しさは、装置内の胎仔が過活動になってしまうことにあります。胎仔は出産が近づくと外部の刺激に敏感になり、一尾の胎仔の動きが周囲の胎仔に容易に伝播してしまいます。その結果、装置内の胎仔の活動度が常に高い状態が続いてしまい、胎仔の皮膚の深刻な擦過傷の原因となります。
この問題を解決するために、今回私たちは、サメを収容する容器の上にアクリル製の筒を設置しました。動き出した胎仔は、筒の内側の空間を泳ぎまわり、しばらくすると他の胎仔がいる元の容器の中に戻ります。このように、一部の胎仔が動き出してしまったとしても、その動きが他の胎仔を直接刺激しないように設計されています。
この手法は、簡単な仕組みながら、一つの容器で複数の胎仔を一気に育成することを可能にする画期的なものです。絶滅危惧種のサメの中には、数十尾の胎仔を一度に産む種類が多く存在します。本成果は、多産なサメにも対応可能な保全繁殖技術としても重要な意味を持ちます。
Taketeru Tomita, Atsushi Kaneko, Tomoya Takeda, Keiichi Sato(すべて財団職員)
A group-housing system for an artificial shark uterus
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