海洋生物の調査研究
琉球列島の島々において、人為的に移入されたニホンイタチ(Mustela itatsi) は、在来の陸生脊椎動物に大きな悪影響を与えてきました。本研究では、絶滅危惧種に指定されている3種のトカゲ、キシノウエトカゲ(Plestiodon kishinouyei)、ミヤコカナヘビ(Takydromus toyamai)、およびミヤコトカゲ (Emoia atrocostata) の下地島と伊良部島における生息状況を評価することを目的としました。調査は2022年7月30日から8月4日、および10月8日から13日の期間に、両島の各地でラインセンサス法を用いて実施しました。
その結果、キシノウエトカゲは101地点中4地点のみ、ミヤコカナヘビは76地点中6地点のみ、ミヤコトカゲは39地点中2地点のみで確認されました。特に、キシノウエトカゲとミヤコトカゲは非常に限られた分布を示し、前者は下地島の北西部、後者は南西部でのみ確認され、両種とも伊良部島では個体が確認されませんでした。ミヤコカナヘビは下地島と伊良部島の両方で観察されましたが、伊良部島では出現頻度が低く、個体数減少の可能性が示唆されました。
本研究の結果は、これら3種のトカゲの生息状況に関する基礎データを提供するものであり、ニホンイタチの駆除プロジェクト後に期待される、将来的なトカゲ類の個体群回復を評価するための重要な資料となります。
Hitomi Asato, Takahide Sasai, Takumi Yamamoto, Mamoru Toda
Population status of three endangered lizards on Shimojijima Island and Irabujima Island, Ryukyu Archipelago, Japan
Current Herpetology
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