海洋生物の調査研究
ザトウクジラは、個体ごとに尾びれの模様や形状が異なり、この特徴を用いて個体を識別することができます。本研究では、2002~ 2021年に、沖縄を含む日本、フィリピン、ハワイ、メキシコ、アメリカ、ロシア等、多くの国や地域で収集された計19万枚以上の尾びれ識別写真を用いて、個体数推定を行いました。
その結果、北太平洋のザトウクジラは、2002~ 2012年にかけて16,875頭から33,488頭まで増加し、その後、2012~ 2021年にかけては、26,662頭程まで減少していたことがわかりました。特にハワイ周辺で繁殖来遊する集団については、2013年をピークに徐々に減少し、2021年には34%程も個体数が減少していたことが新たに確認されました。 これらの結果は、北太平洋全体でザトウクジラの資源量が環境収容能力に達した可能性を示唆するとともに、2014年から2016年にかけて発生した世界最大規模の海洋熱波および気候変動が、その資源状態や回復傾向に長期的な影響を与えている可能性を示しました。今後も北太平洋全体で協力して調査研究を継続することで、ザトウクジラの正確な資源状態の動向や気候変動の影響についての把握を目指します。
1頭1頭異なるザトウクジラの尾びれの特徴
Ted Cheeseman, Jay Barlow, …, Nozomi Kobayashi, …, Haruna Okabe …, Phil Clapham (他69名)
Bellwethers of change: population modelling of North Pacific humpback whales from 2002 through 2021 reveals shift from recovery to climate response
Royal Society Open Science
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