海洋生物の調査研究
サメの腸はとても変わった構造をしています。外から見ると筒型ですが、内部にラセン状の弁が収納されています。しかし、「なぜラセンなのか?」という疑問については、未だ明確な答えが得られていません。
今回、その疑問に答えるヒントになるかもしれない発見がありました。超音波診断装置(エコー)を用いて水族館で飼育するジンベエザメ「ジンタ」の腸の動きを観察したところ、サメは消化中に腸をねじっていることが分かりました。ねじる方向は常に右向きで、これはラセン弁の巻きをよりキツくする方向です。
つまり、雑巾をねじって水を絞るように、サメは腸をねじることで内部の糞便を肛門から絞り出していると考えられます。
ウミエラ類は世界中の浅海から深海域まで幅広く生息する刺胞動物の仲間で、体内には様々な形状をした「骨片(こっぺん)」と呼ばれる微小な結晶を持ちます。
本研究では、この骨片の多様化がウミエラ類の生息水深の変遷に関係することを突き止め、水深400m以深をルーツとするウミエラ類の共通祖先が、浅海域へと進出する過程でプレート状や針状などの異なる形の骨片を獲得してきたという、特徴的な進化のパターンを発見しました。
Kushida Y, Imahara Y, Wee HB, Fernandez-Silva I, Fromont J, Gomez O, Wilson N, Kimura T, Tsuchida S, Fujiwara Y, Higashiji T, Nakano H, Kohtsuka H, Iguchi A, Reimer JD. (太字:財団職員)
本研究は、沖縄美ら海水族館・立正大学・琉球大学をはじめとする国際共同研究チームによって実施されました。
Exploring the trends of adaptation and evolution of sclerites with regards to habitat depth in sea pens.
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