海洋生物の調査研究
アフリカ原産の外来魚カワスズメ(通称ティラピア)は、沖縄県の大部分の水域に侵入しており、在来生態系への影響が強く懸念されている外来種です。
沖縄美ら島財団では、ティラピアの稚魚を一定期間高温で飼育することでオスが不妊(=生殖能力がない)となることと、本種がペア産卵を行う性質を利用し、不妊オスを野外に放流することで無駄な産卵を行わせ、将来生まれてくる子供の数を減じるための実験を行いました。
海洋博公園内の人工池にかつてより侵入したティラピア群を対象に、3年間にわたる駆除と不妊オスの放流を実施しました。その結果、繁殖縄張りをもつ雄の大半を不妊オスとすることに成功はしましたが、次世代の子供が明確に減じたという証拠は得られず、不妊オスの放流による効果はあまりないという結論に至りました。不妊オスを用いて生息数を減らす試みは、脊椎動物では本実験が初となりますが、残念ながら当初期待していた効果は得られませんでした。
この結果の背景には、著しく高いティラピアの繁殖能力があると考えており、外来種駆除の難しさを強調する結果となりました。
当財団では、ひき続き自然遺産のやんばる地方を含めた沖縄の自然が抱える諸問題を解決するための調査研究を行っていきます。
外来種カワスズメ(ティラピア)
Shin-ichiro OKA, Ryo NOZU, Kei MIYAMOTO, Taketeru TOMITA, Nozomi HANAHARA, Chihiro YAMAUCHI, Takahide SASAI and Masaru NAKAMURA(太字:財団職員)
A trial to control invasive Mozambique tilapia populations using the sterile-male release technique in the artificial ponds on Okinawa
Biological Magazine Okinawa
Copyright (c) 2015 Okinawa Churashima Foundation. All right reserved.