海洋生物の調査研究
沖縄県に生息するクマノミ類の宿主である7種のイソギンチャクの触手から、RNA-seq解析を用いて得られるRNA情報を明らかにしました。宿主イソギンチャク類から得られた遺伝子を解析し、その中でも刺胞動物に共通する相同な遺伝子(同一祖先に由来する遺伝子)のうち、種分化によって分かれた遺伝子群を基に、進化系統樹を構築しました。その結果、従来の系統樹よりも詳細な種分化の進化的関係を示す系統樹を初めて明らかにすることができました。この系統樹解析により、宿主イソギンチャク類がEntacmaea属、Heteractis属、Stichodactyla属の3つのグループに大きく分類されることを確認しました。さらに、先行研究で発見されたように、これまでHeteractis属に分類されていたセンジュイソギンチャク(Heteractis magnifica)は、実はStichodactyla属に属することも明らかとなりました。 また、すべての宿主イソギンチャク類において、刺胞に関連する遺伝子の数が同程度であったことから、宿主イソギンチャク類における毒性の違いは、数個の遺伝子数の変化や、発現の強さの違いにより生じた可能性が高いことが示唆されました。
Rio Kashimoto, Miyako Tanimoto, Saori Miura, Noriyuki Satoh, Vincent Laudet, Konstantin Khalturin(太字:財団職員)
本研究は沖縄科学技術大学院大学(OIST)と当財団の共同で行われました。
Transcriptomes of Giant Sea Anemones from Okinawa as a Tool for Understanding Their Phylogeny and Symbiotic Relationships with Anemonefish
Zoological Science
https://doi.org/10.2108/zs210111
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