海洋生物の調査研究
メガマウスザメは20世紀に発見されたサメの中で最も謎が多いサメの一種です。本種の生態については、プランクトンを主に捕食する“ろ過採食”であることが知られていますが、摂餌のメカニズムについては不明とされています。過去の研究では、上顎に顕著な白色帯をもつことに由来する「発光ルアー仮説」や、摂餌時にエサ生物の発光を反射する仮説が存在しますが、長い間その証拠は見出されていません。本研究は、ベルギーのルーバンカトリック大学の研究チームと共同で、メガマウスザメの生物発光に関するこれら仮説の再検証を行いました。
組織学的アプローチ(組織切片、蛍光in situハイブリダイゼーション、走査型電子顕微鏡)および分光光度法による観察の結果、本種は生物発光の機能を有する器官をもたない(発光生物ではない)ことが判明しました。また、口の中や白色帯に存在する細かな楯鱗(サメ肌)には様々な形状が存在し、がプランクトンの発する生物発光を反射する可能性があることが明らかになりました。
本種が“発光する”と考えられてきた要因として、人工的な照明やエサ生物の発光が楯鱗に反射し、発光しているように見えた様子を、ダイバーらが偶然目撃したことが原因ではないかと結論付けました。
Laurent Duchatelet, Victoria C. Moris, Taketeru Tomita, Jacques Mahillon, Keiichi Sato, Catherine Behets, Jerome Mallefet(太字:財団職員)
The megamouth shark, Megachasma pelagios, is not a luminous species.
PLoS ONE
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