海洋生物の調査研究
ザトウクジラは、尾びれの特徴から個体を識別することが可能です。当財団では、この特徴をもとに、これまでザトウクジラがロシア、沖縄、フィリピン間を回遊していることを明らかにしてきました。今回、新たに国立大学法人北海道大学北方生物圏フィールド科学センター(北海道函館市)と共同で調査を行い、沖縄周辺と北海道周辺でザトウクジラの同一個体を発見し、学術誌に報告しました。この個体(識別番号:R-529)は、ロシア等の摂餌海域から沖縄等の繁殖海域への南下回遊の途中に、北海道釧路沖に来遊し確認されたと考えられます。未だ不明の点の多い、ザトウクジラの回遊経路を解明する上で大変貴重な発見、報告となりました。
識別番号:R-529の尾びれ写真。
上:北海道釧路沖、下:沖縄慶良間諸島沖で撮影。
【R-529の照合ポイント】
1. 尾びれ上端部(ギザギザ部分)形状の一致
2. 左右両端の白い模様形状の一致
3. 右下の白い線状傷の一致
尾びれの形状や模様は、30年以上経ってもほとんど変化しないことが確認されている。
三谷曜子、小林希実、岡部晴菜(太字:財団職員)
ザトウクジラの南北回遊:北海道東部太平洋沿岸の個体が沖縄の識別個体と一致
The North-South migration of humpback whales: Photo-identification match of an individual from the Pacific coast of eastern Hokkaido and breeding areas in Okinawa.
哺乳類科学
https://doi.org/10.11238/mammalianscience.60.170
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