海洋生物の調査研究
ザトウクジラは全長13mを超える大型鯨類で、夏はロシアやアラスカなどの高緯度海域で摂餌を行い、冬は沖縄、ハワイなどの低緯度海域で繁殖や子育てを行うことが知られています。冬の沖縄周辺では、来遊したザトウクジラが死亡した状態で海浜等に打ち上げられる「漂着」や生きたまま定置網に迷入する「混獲」が時折確認されます。沖縄美ら島財団では過去のザトウクジラの漂着、混獲事例について調査しました。その結果、過去22年間に漂着7例、混獲5例が確認されました。また漂着や混獲は近年増加傾向にあり、これはザトウクジラの個体数が世界的に増加傾向にあることとの関連性が窺えました。漂着したクジラは体長3.6-10.3m、推定年齢0-6歳の未成熟個体で、成体は含まれておらず,若いクジラの死亡率が高い可能性が示唆されました。定置網内に混獲された5個体は全て数日内に放流され、その内3個体は翌年以降も沖縄島周辺へ再来遊していたことが、財団の実施する個体識別調査から明らかとなりました。
本種の生態には未だ不明な点が多く、私達は今後も同様の調査を継続していくことで本種の基礎情報の収集、保全やホエールウォッチング産業の振興に繋げていきたいと考えています。
岡部晴菜, 小林希実, 東直人, 徳武浩司, 宮原弘和, 内田詮三(太字:財団職員)
邦題:1996-2018年の沖縄島周辺におけるザトウクジラの漂着および混獲
英題:Strandings and bycatches of humpback whales (Megaptera novaeangliae) between 1996 and 2018 around Okinawa Island, Japan
Fauna Ryukyuana
http://w3.u-ryukyu.ac.jp/naruse/lab/Contents_J_files/49-2_Okabe_etal.pdf
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