海洋生物の調査研究
サメの仲間には、哺乳類のように母体中で胎仔を育てる「胎生」の種が多く存在しますが、その胎仔を育てるメカニズムには、多くの謎が残されています。特に、胎仔の子宮内の生態については、ほとんど情報がありませんでした。
沖縄美ら島財団の研究グループは、新たに開発した「水中エコー」を用いて、妊娠しているオオテンジクザメの子宮内の様子を観察しました。
その結果、オオテンジクザメの胎仔が子宮内を活発に遊泳していることが明らかとなりました。人間と異なり、サメは左右二つの子宮を持ちますが、胎仔が左右の子宮を行き来している様子も観察されました。子宮内を自力で動き回ることができる胎仔がエコーで確認されたのは、他種のサメを含め、脊椎動物で本種が初めてです。
オオテンジクザメは、サメの中でも珍しい方法で胎仔を育てることが知られています。母ザメは子宮の中に無精卵を送り込み、胎仔はその無精卵を食べて成長します。胎仔の高い運動能力は、効率よく無精卵を探索するための適応であると考えられます。
Taketeru Tomita, Kiyomi Murakumo, Keiichi Ueda, Hiroshi Ashida, Rina Furuyama(すべて財団職員)
Locomotion is not a privilege after birth: Ultrasound images of viviparous shark embryos swimming from one uterus to the other
Ethology
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/eth.12828
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