1. お椀での育成から人工子宮装置まで:サメの胚育成の歴史に関するレビュー論文が掲載されました
沖縄美ら島財団総合研究所

海洋生物の調査研究

お椀での育成から人工子宮装置まで:サメの胚育成の歴史に関するレビュー論文が掲載されました

沖縄美ら海水族館では、2017年に「サメの人工子宮装置」の開発に着手し、2021年には、深海ザメの一種であるヒレタカフジクジラの胚を長期間育成することに成功しました。その後も、小型化や多頭飼育化など、より安全で汎用性の高い装置の開発を目指して研究を続けてまいりました。
これらの成果は、決して私たちだけで成し得たものではありません。過去の研究者によるサメの繁殖学的研究や、世界各地の水族館・研究所で行われてきたサメの胚育成に関する数々の取り組みがあってこそ、実現できたものです。
サメの胚育成の歴史は、少なくとも1860年代のフランスにまで遡ります。当初は、卵生種(卵を産む仲間)が対象となり、パリの水族館では胚の入ったトラザメ類の卵を展示していたようです。
一方、胎生種(赤ちゃんを産む仲間)の胚育成について最初の記録が残されているのは、時代が大きく下った1940年代です。当時は、ツノザメ類の胚をフィンガーボウル(食事中に指先を洗うための水を入れておくお椀)の中で育成するという、非常にシンプルな方法が用いられていました。このようなシンプルな育成方法から始まり、胚の周囲の環境を清潔に保つ技術や、人工羊水などの開発といった技術革新を経て、現在のサメの人工子宮装置へと発展してきました。
今回、沖縄美ら島財団の研究チームは、これまでのサメの胚育成の歴史を概観し、レビュー論文として発表しました。人工子宮装置を用いることで、現時点で何ができるようになったのか、そして何が課題として残されているのか、詳しく解説しています。

著者名

Taketeru Tomita, Minoru Toda, Atsushi Kaneko, Kiyomi Murakumo, Keiichi Sato (全て財団職員)

論文題名

Artificial uterine apparatus for sharks: advances in elasmobranch embryo incubation technology over 130 years

掲載雑誌

Environmental Biology of Fishes

DOI

https://doi.org/10.1007/s10641-026-01907-8

本文リンク(無料)

https://rdcu.be/jDqcx6vBFPPa

画像写真:人工子宮装置生まれのヒレタカフジクジラ

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