海洋生物の調査研究
ヤシガニはインド・太平洋の熱帯から亜熱帯域に生息する陸棲最大の甲殻類で、現在は乱獲や生息地の消失などで世界的に減少しています。当財団では2006年から海洋博公園に生息するヤシガニの生態調査を行っており、今回の研究では2019年までの14年間、350回以上の追跡調査によって得られた506組の再捕獲データを解析し、ヤシガニの成長と生息数を明らかにしました。その結果、メスの成長はオスよりも明らかに遅く、一般的な食用サイズ(約500g)に達するのにオスは10年以上、メスは25年以上かかり、雌雄とも寿命は50年以上と推定されました。また、海洋博公園には約1000匹が生息していると推算され、ヤシガニの分布の中心である赤道付近の島々と遜色ない水準と評価されました。本研究の成果は、資源減少が世界的に進んでいるヤシガニの生態解明につながるほか、資源管理や保全を考える上で重要な基礎データとなります。当財団では、引き続きヤシガニ資源の持続的利用と保全に関する調査を行っています。
岡慎一郎、徳武浩司、井上忠信(太字は財団職員)
Growth analysis and population size estimation of coconut crabs based on a large recapture dataset
Crustacean Research(DOI:10.18353/crustacea.50.0_145)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/crustacea/50/0/50_145/_article/-char/ja
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