海洋生物の調査研究
2011年7月30日、沖縄県うるま市の浮原島の海岸に見慣れないクジラが死亡漂着しているのが発見されました。当財団と国立研究開発法人水産研究・教育機構と共同で、外見や骨格の特徴、DNA(遺伝的情報)を用いた分析を行ったところ、このクジラは「タイヘイヨウアカボウモドキ」という、世界的にも極めて珍しい種であることが判明しました。この個体は、体長4.8mの若いオスで、国内では鹿児島、北海道に次ぐ3例目、沖縄では初の漂着報告となり、本個体の生物学的知見が国際学術誌に掲載されました。
当財団では、本個体の全身骨格標本を作製し、沖縄美ら海水族館「美ら海プラザ」にて展示中です。現存するタイヘイヨウアカボウモドキの「オス」の完全全身骨格標本は、世界で本標本のみとなり(2021年現在)、本標本は、今後の骨学的研究に利用可能な状態で保管するため、骨自体に一切傷を付けない特殊な方法で作製・展示されています。本報告は、謎に包まれた本種の生態を明らかにする上で大変貴重な報告となりました。
Nozomi Kobayashi, Koji Tokutake, Hideyoshi Yoshida, Haruna Okabe, Kei Miyamoto, Haruka Ito, Naoto Higashi, Shingo Fukada, Kei Yamazaki, Suguru Higa, Isao Kawazu, Keiichi Ueda (太字:財団職員)
The First Stranding Record of Longman’s Beaked Whale (Indopacetus pacificus) in Okinawa, Japan.
Aquatic Mammals
10.1578/AM.47.2.2021.153
Copyright (c) 2015 Okinawa Churashima Foundation. All right reserved.