海洋生物の調査研究
北太平洋のザトウクジラは、夏にロシアやアラスカなどの高緯度海域で摂餌を行い、冬に沖縄やフィリピンなどの低緯度海域で交尾や出産、子育てを行います。また、ザトウクジラは尾びれの特徴から個体を識別することが可能です。当財団では、この特徴をもとに、フィリピンの研究組織(BALYENA.ORG)と共同で調査を行い、2海域間のザトウクジラの交流(行き来)について明らかにし、国際学術誌に報告しました。本研究の結果から、フィリピンで確認されたザトウクジラの約半数が沖縄でも確認されたことがあり、さらに同年内に2海域間を移動する個体がいることも明らかになりました。これらのことから、沖縄とフィリピンに回遊するザトウクジラは同じ系群(グループ)である可能性が示唆され、ホエールウォッチング等の対象種でもある本種の保全管理を行う上で、大変重要な発見となりました。
沖縄海域で観察されたザトウクジラ3頭(左)、
沖縄とフィリピン間で同年内の移動が最も多く確認されたオスのザトウクジラ(識別番号R-8、愛称ゼット)(右)
Acebes J. M. V, Okabe H, Kobayashi N, Nakagun S, Sakamoto T, Hirney B, Higashi N, Uchida S. (太字:財団職員)
Interchange and movements of humpback whales (Megaptera novaeangliae) between western North Pacific winter breeding grounds in northern Luzon, Philippines and Okinawa, Japan
Journal of cetacean research and management
10.47536/jcrm.v22i1.201
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