海洋生物の調査研究
ヤシガニはインド太平洋の熱帯域から亜熱帯域に生息する陸棲最大の甲殻類で、乱獲や生息地の消失などで世界的に資源が減少しています。ところが海洋博公園はヤシガニの生息に適した環境が守られているため,世界最北端の繁殖地となっており,当財団では約10年間にわたって各種生態調査を行っています。
今回,研究グループは,海洋博公園に生息する野生ヤシガニのハサミの力を測定しました。その結果,ハサミの力は体重の90倍近いことがわかり,大きいものほど強い力を発揮しました。これまでに発見された最大のヤシガニ(4 kg)の力を計算すると,3300 N(337 kgf)となり,この値は甲殻類のハサミの力では最強で,ライオンの噛む力に匹敵していました。
ヤシガニはオカヤドカリと同じグループから進化した「殻を持たないヤドカリ」です。貝殻を失ったことで,外敵から身を守るための道具として強いハサミが役立っていると考えられます。また,雑食性のヤシガニは,他の動物が利用できないヤシの実や木の髄などの堅い物も,強いハサミを使って食べることができます。このように,強い力はヤシガニの生態に深く関連していると考えられました。
Shin-ichiro Oka, Taketeru Tomita, Kei Miyamoto(全て財団職員)
A mighty claw: Pinching force of the coconut crab, the largest terrestrial crustacean
PLOS ONE 11(11): e0166108. doi:10.1371/journal.pone.0166108
オープンアクセスですので全文をご覧いただけます
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0166108
巨大なハサミは驚くべき力を発揮します
(a)測定装置
(b)測定状況
Copyright (c) 2015 Okinawa Churashima Foundation. All right reserved.