海洋生物の調査研究
ザトウクジラは夏に餌を食べるためロシアやアラスカなどへ、冬になると繁殖や子育てのため沖縄や小笠原、ハワイなどへ回遊を行います。沖縄周辺では例年12月終わりから4月はじめ頃にかけて本種を対象としたホエールウォッチングが行われており、ザトウクジラは冬季観光産業を支える重要な資源となっています。当財団では国内外の研究者や地元の方々と協力し、ザトウクジラの生態や資源状態を調査しています。
シワハイルカの群れ 伊江島西沖にて
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:2群3頭(親子クジラ:1群)
*調査船(1隻)による情報
本 部:6群8頭(親子クジラ:2群)
*調査船(1隻)による情報
那 覇:7群13頭(親子クジラ:4群)
*提供情報
本日で今シーズンのザトウクジラ調査も最終日となりました。本日の調査ではたくさんのシンガーとシワハイルカも観察することができました(写真参照)。皆様のご協力のお陰で、今年は慶良間、本部海域合わせて延べ299頭の識別写真を撮影することができました。今年も、那覇周辺海域の発見情報や尾びれ写真等をご提供頂いた沖縄中南部ホエールウォッチング協会の皆様、本部周辺海域の発見情報など大変多くのご協力を頂いた沖縄北部ホエールウォッチング協会の皆様、また、その他多くのご協力頂いた座間味村ホエールウォッチング協会の皆様、渡嘉敷村ホエールウォッチング協会の皆様、那覇市、恩納村、伊江村、本部町の皆様、調査にご協力頂いた調査船の船長、調査員の皆様、本当にありがとうございました!また来シーズンもどうぞよろしくお願いいたします。
2頭のザトウクジラ 伊江島西沖にて
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:2群3頭(親子クジラ:0群)
*調査船(1隻)による情報
本 部:8群12頭(親子クジラ:3群)
*調査船(1隻)による情報
那 覇:5群6頭(親子クジラ:1群)
*提供情報
3月も残すところあと数日となり、沖縄のザトウクジラ来遊シーズンもいよいよ終盤です。発見報告からも、徐々にその頭数が減少してきているのがわかります。クジラの数が少なくなってくると、日々の探鯨にも大変苦労しますが、沖縄では、各事業者の皆さん、調査隊ともに随時クジラの発見場所や頭数について情報を共有しながら、協力して探鯨、観察を行っています。皆様いつも本当にありがとうございます。
識別番号R-210の尾びれ写真
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:-群-頭(親子クジラ:-群)
*調査船(1隻)による情報
本 部:6群9頭(親子クジラ:3群)
*調査船(1隻)による情報
那 覇:12群28頭(親子クジラ:12群)
*提供情報
本日の本部海域では、写真のクジラ(識別番号:R-210)が確認されました。R-210は、1997年に初めて慶良間海域で確認されて以降、27年間ほぼ毎年のように沖縄周辺海域で確認されています。このクジラは、過去にもシンガーとして確認されたことがあることから、オスのクジラであることがわかっています。今日もシンガーとして確認され、観察している約1時間程の間ずっとソング(鳴音)が聞こえていました。(「シンガー」については、3/19の内容をご参照ください)。
海上ゴミを拾う調査員
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:5群14頭(親子クジラ:4群)
*調査船(1隻)による情報
本 部:4群7頭(親子クジラ:3群)
*調査船(1隻)による情報
那 覇:6群13頭(親子クジラ:3群)
*提供情報
ザトウクジラ調査を実施していると、時折、ペットボトルやロープ、浮きなどのゴミが漂流していることがあります。特に大きなゴミやロープなどを発見した際は、クジラや自然環境の保全、また航行する船の安全に少しでも貢献できればと、可能な範囲でゴミの回収をしています。また、今日の調査でも、昨日確認された母クジラ(識別番号R-942)が再び本部海域の調査で確認され、親子でゆっくりと泳いでいる姿を観察することができました。
識別番号R-942の尾びれ写真
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:5群12頭(親子クジラ:4群)
*調査船(1隻)による情報
本 部:3群5頭(親子クジラ:2群)
*調査船(1隻)による情報
那 覇:10群20頭(親子クジラ:7群)
*提供情報
本日の本部海域では、写真のクジラ(識別番号R-942)が確認されました。このクジラは、2009年に慶良間海域で初めて観察されて以降、昨年までに計9回の来遊が確認されています。2021年からは母クジラとして新生児を伴って泳く姿が確認されるようになり、本日も今年生まれの新生児とともに、水納島の周辺でのんびりしたり移動したりを繰り返し過ごしていました。
ソング(鳴音)録音の様子
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:-群-頭(親子クジラ:-群)
*調査船(1隻)による情報
本 部:4群6頭(親子クジラ:2群)
*調査船(1隻)による情報
那 覇:14群24頭(親子クジラ:8群)
*提供情報
今日の本部海域の調査では「シンガー」が観察されました。ザトウクジラのオスは、摂餌海域から繁殖海域への回遊途中を含め、主に繁殖海域で複雑な鳴き声「ソング(歌)」を発することで知られており、ソングを発しているオスは「シンガー(歌い手)」と呼ばれています。ソングを発する理由は、メスへの求愛、オス同士の牽制やなわばりの維持など諸説ありますが、まだはっきりとしたことはわかっていません。これまでの調査から、沖縄の沿岸域では、日の入りから日の出にかけて、夜間の方が日中に比べてソングがより活発に観察されることがわかっています(参照:https://churashima.okinawa/ocrc/marine_organisms/report/1668489623/)。
親子クジラとエスコート
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:-群-頭(親子クジラ:-群)
*調査船(1隻)による情報
本 部:8群14頭(親子クジラ:2群)
*調査船(1隻)による情報
那 覇:20群37頭(親子クジラ:11群)
*提供情報
本日の本部海域では、親子クジラにエスコートと呼ばれる雄クジラが同伴する群が確認されました(写真:左からエスコート、母、仔)。エスコートという名からは、親子を見守る父クジラのような印象を受けますが、実際にはそうでなく、母クジラ(雌)との交尾の機会を狙っている雄クジラだといわれています。多くの場合、エスコートは母仔クジラのすぐそばで少し距離をとり泳いでいます。
伊江島南西沖にて
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:-群-頭(親子クジラ:-群)
*調査船(1隻)による情報
本 部:4群8頭(親子クジラ:なし)
*調査船(1隻)による情報
那 覇:15群27頭(親子クジラ:8群)
*提供情報
本日の調査では、写真のような「ブリーチ(ジャンプ)」が観察されました。ザトウクジラはブリーチの他にも、「ヘッドスラップ(頭部を海面に叩きつけるような行動)」、「ペックスラップ(胸びれを海面に叩きつける行動)」など様々な行動をとることで知られています。その理由は、寄生虫を落とすため、コミュニケーションをとるため、攻撃のため、など諸説唱えられているのですが、実はまだはっきりとは解明されていません。 このような大迫力のアクションが見られることも、ホエールウォッチングの醍醐味のひとつかもしれません。
伊江島南西沖にて
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:7群10頭(親子クジラ:3群)
*調査船(1隻)による情報
本 部:3群7頭(親子クジラ:2群)
*調査船(1隻)による情報
那 覇:16群33頭(親子クジラ:11群)
*提供情報
本日の本部調査では、写真のクジラ(識別番号:R-134)が確認されました。この個体は1995年に慶良間海域で最初に確認されて以降、計14回(年)沖縄本島周辺海域で確認されています。2020年以降は仔連れの母クジラとして観察されることが多くなり、これまでに計6回(年)仔クジラ同伴で確認されています。今日も今年生まれの仔クジラを連れており、沖合へとゆっくり泳ぎ去っていきました。
伊江島北西沖にて
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:6群12頭(親子クジラ:4群)
*調査船(1隻)による情報
本 部:8群12頭(親子クジラ:0群)
*調査船(1隻)による情報
那 覇:23群47頭(親子クジラ:8群)
*提供情報
ザトウクジラの尾びれ腹側の模様は、真っ白なものから白黒混ざったもの、真っ黒なものまで個体によって千差万別です。この「尾びれ模様」を北半球と南半球で比べてみると、北半球の方が黒い尾びれのクジラが多いことがわかっています。沖縄周辺でも、これまでに識別された約1900頭のうち、約半数が黒い尾びれのクジラですが、写真のような真っ白い尾びれのクジラはほんの6%程度しか確認されていません。数の少ない白い尾びれのクジラは、個体識別も容易になるので、発見すると少し得をした気分になります。本日観察された白い尾びれのクジラは、しばらく調査船の近くで浮上を繰り返し、その後もあまり移動することなく、のんびりと泳いでいました。
アンテナで装着タグを探す様子
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:-
本 部:8群12頭(親子クジラ:2群)
那 覇:21群39頭(親子クジラ:8群)*提供情報
現在、本部海域では、ザトウクジラの水中での行動を調べるために行動記録計(バイオロギング)を吸盤で装着する調査を、複数の大学の研究者の方々と共同で実施しています。国内外の共同研究者の皆様と協力して、まだまだ謎の多いザトウクジラの生態を明らかにし、保全に役立つ情報を収集していければと思います。調査結果については、また講演などでぜひ皆様にお伝えできればと思いますので、今後もどうぞよろしくお願いいたします!
2頭で泳ぐザトウクジラ 伊江島西沖にて
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:-
本 部:11群19頭(親子クジラ:2群)
那 覇:28群41頭(親子クジラ:8群)*提供情報
本日の本部海域の調査では、2頭で一緒に泳ぐクジラの群れがよく確認されました。これまでの研究結果から、沖縄では1月下旬~2月下旬にかけて、オスとメスの2頭の群れや3頭以上の競争集団(メスとの交尾の機会をめぐって、複数のオスが争っているとされる雌雄混合群)多いことがわかっており、この時期が交尾のピークシーズンではないかと考えられています (参照:http://churashima.okinawa/ocrc/marine_organisms/report/1523339385/)。
識別番号R-889 伊江島沖にて
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:-
本 部:3群6頭(親子クジラ:1群)
那 覇:15群38頭(親子クジラ:7群)*提供情報
今日の本部海域の調査では、識別番号:R-889のクジラが3頭の群れの1頭として確認されました。このクジラは2009年に慶良間諸島、本部周辺海域で初めて確認されました。数年前の調査では、オス特有の行動である「ソング」という鳴音を発しているところも確認されており、オスのクジラであることがわかっています。今年は、2月3日の調査でも4頭群の1頭として観察されています。
伊江島南西沖にて
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:9群16頭(親子クジラ:6群)
本 部:4群7頭(親子クジラ:1群)
那 覇:11群20頭(親子クジラ:3群)*提供情報
本日の本部海域では、識別写真のクジラ(識別番号:R-566)が確認されました。このクジラは2005年に沖縄周辺海域で初めて確認され、その後も沖縄周辺海域で計8回(8シーズン)の来遊が確認されています。R-566はこれまでも2頭で観察されることが多く、本日ももう1頭の個体と一緒に足早に沖へと泳いで行きました。
胸びれと尾びれを水面上に出す仔クジラ
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:10群18頭(親子クジラ:2群)
本 部:7群15頭(親子クジラ:2群)
那 覇:10群19頭(親子クジラ:5群)*提供情報
2月に入り、慶良間、本部、那覇のすべての海域で親子クジラが観察されています。本部海域の調査でも、親子クジラが計2群観察され、仔クジラが時折水面に胸びれや尾びれを出しながら、母クジラとのんびり泳いでいる姿が観察されました。これまでの研究結果から、母クジラと新生児は、他のクジラ(オスクジラや新生児を連れていないメスクジラ)に比べると、より水深の浅い、岸に近い場所や島と島の間等で多く発見されることがわかっています。母クジラは、沖合に比べて海況の安定した穏やかな海域で、子育てに専念しているのではないかと考えられています。
ザトウクジラの親子(母と新生児)
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:5群14頭(親子クジラ:4群)
本 部: -
那 覇:18群35頭(親子クジラ:5群)*提供情報
当財団では、例年、慶良間、本部の2海域で調査を行っており、本日から 本格的に慶良間海域での調査を開始しました。 今日の慶良間での調査では、計5群14頭のザトウクジラを発見し、その内親子クジラも4組確認されました。当ページでは、沖縄海域で確認されたザトウクジラの発見情報を今後も 随時ご報告していく予定です!
伊江島南西沖にて
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:- (2月より調査開始)
本 部:7群15頭(親子クジラ:1群)
那 覇:16群25頭(親子クジラ:9群)*提供情報
ザトウクジラの尾びれ腹面の模様は真っ白いもの、真っ黒いもの、白黒混ざったものなど個体により様々で、これを利用し個体識別をすることができます。当財団では、30年以上に及ぶ調査により約2000頭の個体を識別しています。昨シーズンは慶良間海域と本部海域の調査でのべ403個体の尾びれ写真を撮影することができました。さて、今シーズンは何頭のクジラに出会えるでしょうか!?
伊江島南西沖にて
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:- (2月より調査開始)
本 部:5群7頭(親子クジラ:1群)
那 覇:17群34頭(親子クジラ:6群)*提供情報
本日の調査では、1歳前後とみられる体サイズの小さなクジラ(推定体長6-8m)が観察されました。ザトウクジラの赤ちゃんは約1年の授乳期間を経て、1歳になる頃には親離れをするといわれています。もしかすると、今日観察された小さめのクジラも母クジラのもとを離れて間もない仔クジラだったのかもしれません。
尾びれを上げて潜るザトウクジラ
【本日のザトウクジラ発見報告】
慶良間:-
本 部:7群9頭(親子クジラ:0群)
那 覇:7群11頭(親子クジラ:1群)*提供情報
今年もザトウクジラ調査を開始しました!当ページでは、沖縄周辺で確認されたザトウクジラの発見情報を随時報告していきます。那覇周辺海域の発見情報は、沖縄中南部ホエールウォッチング協会の皆様よりご提供いただいております。いつもご協力ありがとうございます!今年もよろしくお願いいたします!
ザトウクジラは体長12~14m、体重30~40tほどになる大型ヒゲクジラ類の一種で、頭部にみられるこぶ状の突起や長い胸びれが特徴です。世界中の海に生息していますが、季節ごとに餌場と繁殖場を回遊しており、とくに北太平洋では、夏になるとロシアやアラスカなどの冷たい海でエサを食べ、冬になるとハワイ、メキシコ、沖縄、小笠原などの暖かい海で繁殖・子育てをします。沖縄沿岸では例年12月終わりごろから4月の初めにかけてよく観察され、慶良間諸島、本部半島周辺、那覇市周辺などで本種を対象としたホエールウォッチングツアーが盛んに行われています。
ザトウクジラは尾びれ腹面の模様や形状が人間の指紋のように1頭1頭異なります。尾びれの色が真っ白いもの、真っ黒いもの、白黒混ざったものや、同じ黒い尾びれでも後縁のギザギザの形状が各個体で異なるなど様々です。この特徴を生かし、世界各地でザトウクジラの尾びれ写真を使用した個体識別が行われています。
当財団では沖縄のザトウクジラの資源状態や生態を把握するため、30年以上にわたり調査を継続しています。慶良間諸島周辺や本部半島周辺で収集した尾びれ写真の個体識別により、これまでに約2,000頭を識別しています(2024年現在)。この情報をもとに来遊頭数の推定を行ったり、国内外の研究者や地元の方々と協力しながら回遊経路の解明に努めています。また、その調査結果を地元のホエールウォッチング事業者の方々や子供たちに伝える活動なども行っています。
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