一般財団法人 沖縄美ら島財団総合研究所(沖縄県本部町)と神戸大学大学院理学研究科(兵庫県)らの研究グループは、国内希少野生動植物種に指定されている「ハガクレナガミラン」の中に、これまで日本から記録のなかった別の種がまぎれていたことを解明しました。その種は、東南アジアから台湾に分布するThrixspermum annamenseで、イリオモテカヤランの和名を命名しました。
発表雑誌
雑誌名
- 本研究成果は、9月8日に国際誌「Acta Phytotaxonomica et Geobotanica(APG)」に掲載されました。
論文名
- 西表島において発見された日本初記録種Thrixspermum annamenseとその種内分類群に関する考察
First Record of Thrixspermum annamense (Orchidaceae) from Iriomote Island, Ryukyu Islands, Japan, with Discussions on its Intraspecific Taxonomy
著者名
- 末次健司1・廣田峻2・米倉浩司3・阿部篤志3・陶山佳久4・Tian-Chuan Hsu5
(1神戸大学大学院理学研究科,2大阪公立大学附属植物園,3(一財)沖縄美ら島財団総合研究所,4東北大学大学院農学研究科,5台湾林業試験所)
掲載号
ポイント
- 日本では沖縄県の西表島のみに分布する「ハガクレナガミラン」として認識されていたラン科カヤラン属の植物の中に、日本から記録のなかった別の種がまぎれていたことを解明した。
- その1種は、東南アジアから台湾に分布するThrixspermum annamenseであることが判明し、台湾と西表島のものはアジア大陸産と異なる変種var. devolianumと認識された。これに対して、新たな和名としてイリオモテカヤランを提唱した。
- ハガクレナガミランは、国内希少野生動植物種(種の保存法指定種)の1つであり、環境省のレッドリストでも最も高いランクである絶滅危惧IA類に指定されている。西表島に自生するカヤラン属が2種(ハガクレナガミランとイリオモテカヤラン)であったことが判明。このイリオモテカヤランも絶滅危惧種として保護する必要がある。
研究者プロフィール
- 阿部 篤志(あべ あつし):
沖縄美ら島財団総合研究所 植物研究室 室長兼上席研究員。
2012年より現職。森林生態学、沖縄県の希少植物の保全を専門。
- 米倉 浩司(よねくら こうじ):
沖縄美ら島財団総合研究所 植物研究室 上席研究員。
2019年より現職。植物分類学と植物地理学を専門。
- お問合せ
- 一般財団法人 沖縄美ら島財団 企画広報課 仲榮眞・川満
TEL:0980-48-3649 / FAX:0980-48-3085
E-mail: oki-pr@okichura.jp