一般財団法人沖縄美ら島財団 総合研究センター(沖縄県本部町)、千葉県立中央博物館、兵庫県立大学の研究チームは、海水に含まれる「環境DNA」から魚類を検出する「メタバーコーディング法(多種同時検出法)」という技術を用いて、沖縄県本部町備瀬の礁池(イノー)の11地点で採取した海水11リットルから計291種の魚類を検出しました。
本研究の結果から、メタバーコーディング法がサンゴ礁域など多様性の高い海域においても有効であり、サンゴ礁域における魚類群集モニタリングが実現可能であることが示され、今後琉球列島のサンゴ礁生態系の保全に役立つことが期待されます。
発表雑誌
雑誌名
- Environmental DNA(DOI:10.1002/edn3.132)
論文題目
- Environmental DNA metabarcoding for biodiversity monitoring of a highly-diverse tropical fish community in a coral-reef lagoon: Estimation of species richness and detection of habitat segregation
著者
- 一般財団法人 沖縄美ら島財団 総合研究センター:岡 慎一郎、宮本 圭、花原 望
- 千葉県立中央博物館:宮 正樹、佐土 哲也
- 兵庫県立大学大学院 シミュレーション学研究科:土居 秀幸
ポイント
- 本部町備瀬のイノーの11箇所で1Lずつ(計11L)海水を採取。
- 海水に含まれていた環境DNAをメタバーコーディング法により分析した結果、生物の多様性が高いサンゴ礁域において、スズメダイやチョウチョウウオなどのサンゴ礁性魚種 合計291種の検出に成功。
- 調査結果の数値解析によりこの地域に約410種の魚類が生息すると予想された。
- さらに、海草の多い岸側とサンゴ類の多い沖側の採水地点での魚種の構成に差があることがわかり、環境DNAは比較的狭い範囲であっても採水場所周辺の魚種をピンポイントで把握できる可能性が示唆された。
- 同手法を用いた分析によって、琉球列島のサンゴ礁域での生物多様性研究が進み、保全に役立つことが期待される。
代表研究者
岡 慎一郎(おか しんいちろう)
博士(理学)、一般財団法人 沖縄美ら島財団 総合研究センター 動物研究室 係長兼主任研究員
専門は水生生物の生活史研究・保全生態学
- お問合せ
- 一般財団法人 沖縄美ら島財団 企画広報課 仲宗根・宮内
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