亜熱帯性植物の調査研究
熱帯植物試験圃場では、調査研究を通し、生物多様性の保全、地域産業の振興、公園機能の向上、普及啓発事業に役立てることを目的として、熱帯・亜熱帯性の果樹花木 (100種)、ラン類 (600種)、琉球列島産希少植物 (160種)、島野菜 (50種)、その他の有用植物 (120種) 等、合計約1,030種の維持管理や栽培試験を行っている。
これら当財団保有の植物コレクションについて、今年度の活用成果を報告する。
1)調査研究事業での活用
琉球列島の希少植物の生息域外保全に関する研究、花卉類や観葉植物等の新品種開発の研究、沖縄の伝統野菜 (島野菜等) の研究、都市緑化木の病虫害防除に関する研究等において、試験栽培や系統保存等で活用した。
2)展示・普及啓発への活用
当財団が管理している国営沖縄記念公園 海洋博公園での展示に活用した。
(1)熱帯ドリームセンター
「夏のラン展」、「ツバキ展」、「珍しいラン展示」、「絶滅危惧種ホザキザクラ展示」、「桜の展示」等の期間限定の企画展や、常設展示コーナーでの沖縄産希少種の生態展示等、29種の植物を展示活用し普及啓発を図った (写真-1~4)。
(2)沖縄郷土村、熱帯・亜熱帯都市緑化植物園
民家裏の伝統家庭菜園(沖縄方言で“あたいぐわ”)での植栽展示 (写真-5) や、植付け・収穫イベントで、沖縄の伝統野菜 (島野菜等) 6種を活用した。また、利用サービスの一環で、苗木販売コーナーではラン類、果樹、花木、草花、ハーブ等25種を活用した。
3)緑に関する催事での活用
秋の都市緑化月間 都市公園等愛護活動の一環で、当財団が管理している国営沖縄記念公園 首里城公園内の清掃美化作業に参加された方へ、緑化苗としてハイビスカス100鉢を配布した。
栽培技術のマニュアル化、圃場スタッフの人材育成など栽培技術の継承が課題である。また、一部の温室や加温設備で老朽化がみられるため、優先順位をつけ修繕する必要がある。
生物多様性の保全に関する調査研究と希少植物の維持・管理は、植物園的機能としての大きな役割の一つなので、これまでと同様に今後も植物栽培圃場の管理運営に当たっていただきたい(上田顧問:ぎふワールド・ローズガーデン 理事)。
生きたまま保存された植物が園内活用ばかりでなく、広く外部への普及利用が始まり、好評なのは喜ばしい。更なる発展のためには、栽培者に対して、きめ細かい指導が必要である(唐澤顧問:ラン研究家)。
*1植物研究室
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