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  1. 9)オフィスグリーンプロジェクト運営強化を 目指した調査研究 ‐多種多様な観葉植物の有効活用に関する報告‐
沖縄美ら島財団総合研究所

亜熱帯性植物の調査研究

9)オフィスグリーンプロジェクト運営強化を 目指した調査研究 ‐多種多様な観葉植物の有効活用に関する報告‐

辻本悟志*1

1.はじめに

近年、観葉植物を用いた室内緑化は商業施設や観光施設、職場環境内にも導入されつつある。この背景として、室内緑化は心理的・生理的な改善並びに産業振興への寄与等の期待がある。令和元年度よりオフィスグリーンプロジェクトを開始し、約40名に対し継続したインタビュー調査等を実施している。研究対象者は協力的であるが、中には植物の手入れが負担になるという意見もあった。そのため、植物維持管理の担当者が週1回程度剪定や入替等でフォローしているが、その過程で発生した枝葉はこれまで処分していた。
そこで、観葉植物の維持管理費の節減を目的として、剪定した枝葉の活用に関する有効性について検討する。
尚、詳細は令和3年11月にオンラインで行われた日本レジャー・レクリエーション学会第51回学会大会で発表済みである。また、本報告に関するとりくみは、令和3年度日本レジャー・レクリエーション学会の研究助成金を受けて実施した。

2.調査方法

令和3年10月、財団本部棟2階屋内、屋上簡易圃場内の2か所において、茎の長さを5cmに切り揃えた8種類の茎24本を、植物活力素もしくは水に約5時間浸漬した後、20本は鹿沼土に、残りの4本はレカトンに植えた。1か月後、茎から伸長した最長の根の長さをノギスで測定した。

3.結果と考察 (図-1)

供試した全ての茎で発根が見られた。また、概ね植物活力素の方が根の成長が速い傾向にあるが、水の方が成長が速いものもあった。また、オフィス内では虫の発生が少ないレカトンを使用しているが、レカトンでも発根が可能であることから、観葉植物の種類によっては、より安価で簡便な増殖を図ることができると期待される。

4.外部評価委員会コメント

室内緑化のための植物の選択を職員にさせた点は、成果が期待される。この成果に基づいて、水族館に応用されることを期待する(佐竹顧問:昭和薬科大学薬用植物園 研究員)。
研究の目的、取り組み状況等は評価できるが、その成果がまだ不十分である。研究方法においても、実験の条件と評価方法において各種の組み合わせや計測方法があると思われるが、一面的で更に工夫が必要である。研究発表もさらに増やすことを望む。産業面へどのようにつながるのか、具体例やケーススタディが欲しい(池田顧問:琉球大学 名誉教授)。

図-1 処理方法の違いによる、供試した24本の根の伸長量
図-1 処理方法の違いによる、供試した24本の根の伸長量


*1植物研究室

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