海洋文化の調査研究
本事業では地域と連携して南西諸島の海にまつわる民俗に関する基盤的な調査研究を行うことを目的に、1)船漕ぎ儀礼の現況・変容、2)海を中心とした自然利用の民俗誌という2テーマについて文献・現地調査を行っている。今年度は船に加えて来訪神儀礼についての調査を計画した。(表-1)
5件の儀礼に参列し、実施状況と変容について現地調査を行った。結果、コロナ禍において娯楽色の強い儀礼の一部が中止・簡素化されるなどの変化が確認された一方で、宗教色の強い儀礼についてはその形態を維持するなどの事例を確認した。
これらの調査結果については海洋文化館での一般向け講座(海洋文化講座)に活用したほか、現在執筆中の論文「コロナ禍と沖縄の民俗(仮)」の基礎資料として活用中である。また、調査時に撮影した写真、映像データについては、各地域の漁協、青年会、公民館に提供した。
これらの成果は、海洋文化館や美ら島自然学校などの財団が管理する施設での催事や展示に活用し、施設への誘客を促進するとともに、文化財化や新たな利用方法の提案などを通して地域の伝統行事の継承に寄与した。
撮影した写真や映像データを当該地域はじめ各地域の漁協、青年会、公民館などに提供して地域との連携により無形文化遺産である伝統儀礼の維持を目指した点は注目される(須藤顧問:堺市博物館 館長)。
コロナ下においてできることを最大限実施したように見受けられる点が高く評価される。南西諸島の船関係の儀礼については、過去の調査からもデータが集まってきたようなので、分布図作成やウエブでのわかりやすい表示システムの構築などを計画していただきたい(後藤顧問:南山大学 教授)。
表-1 現地調査 実施予定箇所一覧
*1普及開発課
Copyright (c) 2015 Okinawa Churashima Foundation. All right reserved.