普及啓発の取り組み
国営公園管理部企画運営課調査展示係と共同で、太平洋島嶼域や沖縄の海洋文化に関する展示を行っている海洋文化館の魅力を発信し、知名度の向上と利用促進を図ることを目的に、「海洋文化講座」と題し、島々の海洋文化を題材とした一般向け館内ガイドツアーおよびギャラリートークを実施した。実施にあたり、総合研究センターが行っている海洋文化に関する調査研究の成果を積極的に活用し、発信した。
今年度は7回の「海洋文化講座」と題する一般向けギャラリートーク・ガイドツアーと、1回のサバニに関する講演会を企画し、それぞれスライドとテキストを製作した(写真-3)。ただし7月11日「食生活の変化」、8月29日「ハジチとタトゥー」、9月26日「安部の来訪神儀礼」を題材とした回は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための緊急事態宣言発出により中止した。
緊急事態宣言解除後、11月7日「スマホ・洋酒・タトゥー」、11月14日「仮面・仮装の来訪神」、12月12日「沖縄の船サバニ サバニづくりの未来」、1月9日「船と航海術」、2月6日「やんばるのムラのくらし」を実施した。総参加者数は60名(対前年度比125.0%、対定員比150.0%)であった。
催事開催告知から数日で定員を超過するなど、利用者の認知度が高まり、海洋文化館の催事として定着した。また、琉球大学社会人類学研究室の推奨により、同研究室の学生が毎回、参加するようになった。
今後とも新しいコンテンツの創出を継続して海洋文化館への誘客促進に努めるほか、美ら島自然学校や沖縄県立博物館・美術館(おきみゅー)など財団が管理する他施設でも実施して送客の促進を試みたい。
1)こだわりのガイドツアー
高校生以上を対象に、海洋文化館の展示についてテーマを決めて解説するものである。ただし今年度は新型コロナ感染拡大防止の観点から、海洋文化館での実施を見送った。その代替として1回を美ら島自然学校及び名護市嘉陽地区で実施し、実際に集落を歩き、遺跡や聖地の分布、植生や海岸利用の態様などについて、海洋文化館に展示されている太平洋の事例を紹介しつつ解説した。
2)ギャラリートーク・講演会
高校生以上を対象とし、海洋文化館・交流ゾーンのステージで4回、開催した。テーマとして、衣・食・住の変化、仮面・仮装の来訪神儀礼、伝統的航海術、沖縄の伝統的な木造漁船サバニを取り上げ、スライドや動画の上映を行うとともに、参加者も交えた対話を行った(写真-2)。
各回定員を超す聴講者が集うほどの人気があり、特に琉大の社会人類学専攻生が参加するなど、県内大学の人類学研究拠点とネットワークを構築できた点は評価される(須藤顧問:堺市博物館 館長)。
海洋文化館の認知度が県内で着実に高まっていることは喜ばしい。また琉球大学との連携も、今後、学生が文化館活動にコンスタントに参加する方策を考えていくことが望ましい。産業連携については具体的な案や可能性を示していただきたい(後藤顧問:南山大学 教授)。
*1普及開発課
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