普及啓発の取り組み
亜熱帯性動植物に関する知識の普及啓発の一環として、一般市民を対象とした「一般向け講演会・講習会」を開催した。また、ダイビング業者やエコツーリズム業者、調査研究者等に対象を絞り、専門的な内容で実施する「専門家向け講習会・講演会」を例年開催していたが、令和3年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止を図り3密になる事業は中止とした。実施件数は一般向け講演会・講習会8件、専門家向け講習会7件であった。
1)一般向け講習会・講演会(4事業)
(1)一般向け講演会「研究室による講演」
概要:沖縄美ら島財団総合研究センターの職員が日頃取り組んでいる自然環境や文化財の保全や復元、また動植物に関する調査研究の成果を題材とした講演を行った。
「尚家文書に記された琉球産ベンガラについて」
講師:幸喜 淳(琉球文化財研究室)
実施日:令和4年1月22日
実施場所:美ら島自然学校
(2)総合研究センター定期講演会 美ら島再発見~動物、植物、琉球文化から迫る~
概要:沖縄美ら島財団総合センターの職員による
沖縄の希少な動植物の保全、文化財保全・復元など、社会的ニーズを踏まえた様々な研究成果について発表した。
実施日:令和4年1月16日
開催方法:オンラインでの開催(35名参加)
発表者:植田啓一(動物研究室)
タイトル:「イルカやサメの健康診断~水族館獣医のお仕事~」
発表者: 米倉浩司(植物研究室)
タイトル:「沖縄県のエイリアン植物の実態に迫る」
発表者:田丸尚美(琉球文化財研究室)
タイトル:「首里城の和風インテリア~南殿・書院を中心に~」
発表者:板井英伸(普及開発課)
タイトル:「沖縄の舟サバニ~地域のワザを受け継ぐ~」
(3) 企画展「沖縄の船 サバニ~過去・現在・未来~」
講師:板井英伸(普及開発課)
実施日:令和3年4月20日~5月22日
実施場所:沖縄県立博物館・美術館(おきみゅー)博物館特別展示室
沖縄各地のサバニを集めて展示し、「過去」として、サバニのこれまでの歴史を振り返り、「現在」としてその建造技術や操船法の継承に取り組む人々の、さまざまな活動について紹介した(写真-2)。新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け開催期間が縮小された中で、1,236名の来場があった(詳細は「造船・航海等に関する調査」参照)。
(4) 企画展「さがそう!自由研究のタネ」
概要:沖縄の小中学生が取り組む夏休みの自由研究に関連づけた展示を行うことで、学習を補助することを目的とした。併せて、財団が行う調査研究等の取り組みを紹介し、県民への周知を図った。
講師:総合研究センター職員
実施日:令和3年7月22日(木)~7月25日(日)
※新型コロナウイルス感染症拡大に伴う臨時休館の為、一般公開中止
実施場所:沖縄県立博物館・美術館(おきみゅー)県民ギャラリー
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、展示準備後に開催の中止が決まった。そのため、展示に使用したパネルを総合研究センターHPで公開した。さらに、展示物の解説動画を作成し、沖縄美ら島財団公式YouTubeに投稿した。
2)専門家向け講習会・講演会(3事業)
(1) サンゴ礁保全シンポジウム
昨年に引き続き、本シンポジウムは、新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止となった。
(2) サンゴワークショップ「サンゴの分類と同定2022」
概要:新型コロナウイルス感染拡大防止のため、長時間室内での活動を必要とする本事業は、開催中止となった。出張開催として西表島におけるサンゴの分類と同定ワークショップを実施した。
講師:山本 広美(普及開発課)
実施日: 12月12-15日
実施場所:西表島上原公民館
昨年に引き続き有藻性イシサンゴの多様性が高い西表島で、地域のダイビングガイドの方々へのサンゴ、特に分類を学ぶ「有藻性イシサンゴの分類と同定ワークショップ」を開催した。昨年観察した25属以外のイシサンゴ全ての属で分類実習を行った。
(3) 西表島サンゴの生態・サンゴプログラム
実践のための研修受け入れおよび講座開催
西表島「コーラルガイド」養成プログラム
講師:山本 広美(普及開発課)
実施日:令和3年10月28-29日、11月15-18日、12月12-15日
実施場所:沖縄美ら島財団総合研究センター、
美ら島自然学校、西表島上原公民館、
西表島エコツーリズムセンター
西表島でサンゴの生態や保全に関する知識を習得し「コーラルガイド」となるための講習会を企画、開催した。併せて、西表島のダイビングインストラクターの方々がサンゴについての紹介や環境教育の方法を学ぶ講座を開催した。また、一般の方へのサンゴの生態を最新の知見とともに紹介する「サンゴお悩み相談室」を実施した。いずれも新型コロナウイルス感染症対策のため、人数制限やマスクの着用などに留意して実施した。サンゴの産卵や白化、さらに環境問題について活発な質問が寄せられ、参加者の興味や学びを深めることができた。
企画、計画、方法等において、充実しており、実績も多く、評価できる。
実際的な現場体験は重要であるが、コロナ禍での状況で困難な面もあり、リモートや映像等によるバーチャル体験可能な方法も検討されたい。
各市町村の企画、教育委員会、調査研究機関などへの周知や連携を進めていくことが望まれる。成果の発表や資料の刊行も大いに広げていくことを期待する(池田顧問:琉球大学 名誉教授)。
*1普及開発課
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