スマートフォンサイトはこちら
  1. 11)ドリアンのコンテナ栽培における開花結実調査Ⅲ
沖縄美ら島財団総合研究所

亜熱帯性植物の調査研究

11)ドリアンのコンテナ栽培における開花結実調査Ⅲ

田代亜紀羅*1・本田レオ*1・端山 武*2

1.はじめに

ドリアンは純熱帯の常緑性高木果樹で、栽培適地が極めて限定的である。我が国では熱帯ドリームセンターで平成30年および令和元年に結実した他に、可食大まで肥大した報告は無く、開花結実に関するノウハウの蓄積が期待されている。熱帯ドリームセンターでは令和2年も結実に成功したため、開花結実の様子および収穫された果実品質について報告する。

2.材料および方法

1)供試品種
現在熱帯ドリームセンターにて栽培管理されているドリアン3品種について、調査を行った。
(1) Kho qua xanh (2) Sua bo (3) Monthong

2)調査方法
(1)開花および結実の観測
開花日と人工受粉の実施による結実の有無、果実の肥大過程のサイズを計測した。

(2)果実の特性評価
果実の縦径および横径、仮種皮および種子の重さ、種子数および糖度を測定した。

3.結果および考察

写真-1
写真-1 Kho qua xanhの状況(令和2年4月28日撮影)

1)開花および人工授粉  Kho qua xanh種は令和2年4月後半から6月前半にかけて、ほぼ毎日開花がみられた。Sua bo種およびMonthong種は6月に開花が集中する傾向にあった。樹体への影響も考慮し、開花枝のうち手首よりも太い枝のみで、人工授粉を実施した。
Kho qua xanh種では、6果が可食大まで肥大した。他の2品種では結実したものの、肥大過程で落下した。いずれの樹でも、他品種の花粉を人工授粉した場合のみで結実した。6月19日に授粉した果実が最も肥大し、103日後の9月30日に落果した。

2) 収穫された果実の計測および糖度の計測
収穫された果実は縦径17.1cm~23.0cm、重さ1.4kg~2.3kgの範囲であった。Brix糖度を計測したところ、31.0~36.7の範囲で、前年度の25度前後よりも高い数値であった。また交配組み合わせが、果実の大きさおよび重さ、糖度などの品質に対して影響することが示唆された。

4.まとめ

過去2年に引き続き、今年度も同時期に複数の品種の開花がみられた。いずれの樹でも、他品種の花粉を人工授粉した場合でのみ結実したが、この結果は当財団の過去の実績や、ドリアンの結実に関する報告と相違が無かった。
またKho qua xanh種を種子親として得られた果実は、花粉親がSua bo種かMonthong種かによらず、前年度と同程度の大きさ、高い糖度を示し、品質が向上した。
今後も開花結実を実現しつつ、果実品質を高められるよう、肥培管理および整枝剪定のノウハウの蓄積に務めたい。また、熱帯ドリームセンターで保有するドリアンのうち、Monthong種では結実するものの未だに可食大の果実を得られていない。したがってドリアン品種毎に適した肥培管理・維持管理の方法を検討していく必要がある。


*1植物課・*2植物研究室

ページTOPへ