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  1. 3)造船・航海等に関する調査
沖縄美ら島財団総合研究所

海洋文化の調査研究

3)造船・航海等に関する調査

板井英伸*1

1.はじめに

本事業では、地域と連携して沖縄を代表する木造漁船・サバニの造船・航海技術に関する調査・研究を行い、その保存・継承を支援することを目的として、南城市玉城字奥武の奥武島造船所にサバニの建造を依頼し、その建造工程についての記録を作成して企画展・一般向け講座などの実施に活用するとともに、ひろく一般に周知する。

2.調査概要

新型コロナウイルス感染症対策による遅延はあったものの、9月28日よりサバニの建造を開始し、令和3年2月20日までの間、琉球文化財研究室の協力を得て、各工程の写真・動画撮影ならびに関係者への聞き取り調査を行った。(写真-1、2)
その間、計7社の取材を受け、テレビ放映4回、新聞掲載2回、インターネット番組1回において本事業が紹介されたほか、2社(沖縄タイムス社、沖縄映像センター)の追跡取材により、それぞれ特集化、番組化された。(写真-3、4)
なお、本事業については沖縄県教育委員会および南城市教育委員会の後援を得た。また、南城市教育委員会は、同委員会HPにおいて本事業を紹介した。

3.調査成果の利用

12月26日には海洋文化館において本事業に関する講演会を開催するとともに、令和3年2月21・24日には南城市奥武区公民館において、地域住民を対象とした展示会を開催した。(写真-5)
その際、調査成果をもとにテキストと映像資料各1点を作成したほか、2月末には調査報告用の冊子を作成して関係者に配布し、総合研究センターおよび美ら島自然学校の蔵書に追加した。(写真-6)
なお、令和3年度には沖縄県立博物館・美術館(おきみゅー)において、本事業とサバニに関する展示会を開催する予定である。

4.外部評価委員会コメント

ほとんどの木造和船が消滅した現在、十全な建造技術を今に伝えるサバニの建造工程のすべてを克明に映像で記録し、製作過程についての詳細な情報を船大工から収集することは極めて重要な研究課題である。その意味で、本研究はサバニの造船技術とその操船法や航海術を保存し次世代へ継承することを目的としており、成果が期待される。
本年度は、昨年9月からサバニ建造が開始され、製作工程を写真・動画撮影によって記録した。建造工程などサバニについての講演会や展示会で成果を公開し、また建造調査報告の冊子を作成し、配布していることから、本研究の成果が実り多いとみなすことができる。(須藤顧問:堺市博物館 館長)。

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    写真-1 職員による調査状況
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    写真-2 サバニ建造状況
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    写真-3 テレビ放映状況(OTV沖縄テレビ)
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    写真-4 新聞掲載状況(10月8日付『沖縄タイムス』)
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    写真-5 南城市奥武区公民館での展示状況
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    写真-6 調査報告用冊子(表紙)

*1普及開発課

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