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  1. 2)海洋文化資料の管理保存に関する調査
沖縄美ら島財団総合研究所

海洋文化の調査研究

2)海洋文化資料の管理保存に関する調査

板井英伸*1・木野沙央里*1

1.はじめに

本事業では平成30年度に引き続き、海洋文化館の展示・収蔵資料の取扱い・点検・管理方法を確立するために展示・収蔵資料の状態調査を行うとともに、既存の資料リストの内容について精査し、その校訂を行った。

2. 海洋文化資料の管理保存に関する調査

本調査の目的は、海洋文化館の資料を適切に管理・保存することにより、同館の安定的な運用を保証し、かつ研究施設としての財団の実績を蓄積して、資料の管理保存に関する役割を確立することにある。また、同技術を資源化することによって、将来の事業化も期待できる。
今年度は海洋文化館内の巡視温湿度記録簿、巡視資料状況記録簿等の情報を整理、資料の管理状況を把握する体制を整備した。また、管理対象外の物品を整理・処分し、資料の保存状況を改善した。さらに昨年度からの継続調査として、海洋文化館内および収蔵庫に保管されている資料のうち、保存状態に問題がある資料の状態調査を実施し、資料リストへの情報追記・修正を行った(表-1、写真1、2)。
 なお、問題点は以下のとおりであった。
  ・カビ、生物に起因する被害発生
 これらの問題点への対策として
  ・送風機の配置の見直しや生物調査の再開
が想定された。国営部など財団内の関係部署と協力し、体制を見直して着実に調査を継続し、基礎データの作成・蓄積に努めるとともに、実用的な管理マニュアルの策定と実践を目指す。

3. 海洋文化資料データベース作成に関する調査

本調査は、既存の海洋文化館所蔵資料データベースを精査し、同館の展示リニューアル作業やその前後の資料の移動などに起因する齟齬を解消するとともに、資料ごとの解説文の粗密の平準化や法量等重複する情報の整理を行って、より信頼度が高くコンパクトな資料リストの作成を目的とするものである。
今年度は平成30年度までに作成した資料データベース第2稿をもとに監修用リストを作成し、資料収集者の監修を受け、資料番号の付与を実施した(表-2)。
なお、今年度の成果を受けて、今後は重複する情報の整理と解説文の平準化という二つの作業を行う予定である。
また、作業の各段階においては、リニューアル作業時の監修者等、外部有識者の協力も得て、同リストの完成度を継続的に高めていく。

4.外部評価委員会コメント

本プロジェクトの目標である、全ての資料の状態を点検する調査を速やかに実施し、その結果に基づき補修・修復等の方法と処置を行うことが望まれる。また、「海洋文化資料データベース」の作成は海洋文化館にとって必須の企画である(後藤顧問:南山大学 教授)。
収集者が単なる監修ではなく、自分の収集した資料に関するより詳細で正確な情報を加えることが肝要となる。その点を重視して収集者への追加記入の要求をするとともにプロジェクトの適切な運営が望まれる(須藤顧問:堺市博物館 館長)。

表-1 平成31年度調査表(状態・所在別に資料を分類し、注意点を示している)

  • 写真-1 資料状態調査(海洋文化館展示ホール内)
    写真-1 資料状態調査(海洋文化館展示ホール内)
  • 写真-2 管理対象外資料の処分・整理
    写真-2 管理対象外資料の処分・整理

表-2 資料リスト第3稿(赤字部分が資料収集者による修正・追記を反映した箇所)


*1普及開発課

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