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  1. 8)ドリアンのコンテナ栽培における開花結実調査Ⅱ
沖縄美ら島財団総合研究所

亜熱帯性植物の調査研究

8)ドリアンのコンテナ栽培における開花結実調査Ⅱ

田代亜紀羅*1・下地俊充*2・本田レオ*1・端山 武*3・奥濱真作*3

1.はじめに

ドリアンは熱帯の代表的な常緑性高木果樹である。栽培適地が極めて限定的で、我が国では開花はするが結実したとの報告は限られており、可食大まで肥大した報告は、昨年度の本研究室の報告のみである。昨年度に引き続き結実に成功したことから、生育概況および収穫された果実品質について報告する。

2.材料および方法

1) 供試品種

現在熱帯ドリームセンターにて栽培管理されているドリアン3品種について、調査を行った。
(1)Kho qua xanh
(2)Sua bo
(3)Monthong

2)調査方法

(1)開花および結実の観測
開花期間と開花数の記録、人工受粉の実施による結実の有無、果実の肥大過程のサイズを計測した。

(2)果実の特性評価
果実の縦径および横径、仮種皮および種子の重さ、種子数および糖度を測定した。

3.結果および考察

写真-1
写真-1 Kho qua xanh結実状況(2019年8月20日撮影)
1) 開花の観測

各品種とも、平成31年4月後半から6月前半にかけてほぼ毎日開花がみられた。花芽は主に落枝痕に集散花序として発生した。Kho qua xanhは期間中640輪、Sua boは433輪、Monthongは332輪が開花した。

2) 人工受粉および結実

樹体への影響も考慮し、開花総数の半分程度に対して他花受粉を実施した。Kho qua xanhに3果、Sua boに2果で肥大が見られた。Kho qua xanhは4月27日に交配した果実が最も肥大し、109日後の8月14日に落果した。Sua boでは5月5日に交配したものが最も肥大し、143日後の9月25日に落果した。

3) 果実の肥大過程の計測

肥大が確認された果実のサイズ計測を毎週行ったところ、6月中旬にかけては緩やかな肥大で、その後8月上旬にかけて生育が旺盛となり、8月上旬からはほとんど肥大しなくなった。

4) 収穫された果実の観測および糖度の計測

収穫された果実は、可食部の重さと種子数に正の相関が見られた。Kho qua xanhでは、最大の果実2,200gに対して可食部(仮種皮)595g、種子242gであった。Brix糖度を計測したところ、いずれも25度前後と高い値であった。

4.まとめ

今年度はほぼ同時期に複数の品種の開花がみられたことから、異なる品種間で交配を行うことができた。結果として、東南アジア諸国でみられるほぼ同サイズの果実まで肥大することが確認できた。
今後は安定した開花結実に向けて肥培管理のノウハウ蓄積に努めていきたい(得られた知見については、学会発表を予定)。


*1植物課・*2総務部・*3植物研究室

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