琉球文化の調査研究
仲嶺絵里奈*1
首里城公園開園25周年と沖縄県立博物館・美術館開館10周年を記念し、特別展「首里城の25年~平成の復元~」を開催した。首里城公園が担ってきた博物館の調査研究、収集・保存、展示、教育普及分野を発揮し、琉球の絵画、染織、漆芸に関する展示を行った。また、沖縄県立博物館・美術館でも首里城の普及啓発に繋がる展示のほか、県博物館と共同で企画展を開催した。
散逸した文化財の収集事業の成果として、初公開となる絵画、尚王家関係資料、陶器などを南殿特別展示室で展示した。
琉球王国時代の王家に関係する品のほか、士族層が使用したと思われる展示品を通して、鑑賞者に首里王府が中心となった王国時代の美術工芸品の世界を紹介した。
首里王府お抱えの絵師を中心に発展してきた琉球絵画について紹介する展覧会を開催した。沖縄県指定有形文化財の自了の作品のほか、初公開となる毛長禧の作品などを展示した。首里城の書院・鎖之間など首里城内で飾られていたと思われる作品なども展示し、王城内での室内装飾についても紹介した。
王国時代の紅型や織物の色材調査の結果や新たにマイクロスコープで調査した成果を紹介した。琉球王国時代の手わざの世界や、糸などの材料を科学の眼を通して読み解く展示会は、首里城として初の試みだった。
琉球王国時代の漆芸品は琉球王国内で生活道具として日常使用された他、中国や日本への貢納品や贈答品として政治的に利用された。南殿特別展示室では「Ⅰ琉球王国内で使用された琉球漆器」、黄金御殿特別展示室では「Ⅱ琉球王国を支えた琉球漆器」をテーマに展示を企画した。
沖縄県立博物館・美術館と併せて首里城周辺や爬龍船競漕の掛軸を展示館と共同し、県博物館常設展示室で琉球王国時代の首里・那覇を紹介する展示会を開催した。県博物館や浦添市美術館、那覇市歴史博物館が所蔵する首里・那覇の鳥瞰図屏風から、首里・那覇の旧跡や舟漕ぎ儀礼であるハーリーなど年中行事を紹介した。
沖縄県立博物館・美術館の企画展示室で、沖縄県立埋蔵文化財センター協力のもと、首里城の復元整備に伴う発掘調査の成果や開園に至る取組みを紹介する展示会を開催した。また、周辺施設である中城御殿(旧沖縄県立博物館)や円覚寺三門の発掘調査についても紹介した。発掘品のほか、図面や森政三資料の古写真を展示し、首里城、中城御殿、円覚寺三門の復元の意義や今後も続く整備について普及啓発を行った。
25周年記念展では、展示会ごとに担当学芸員による解説会を実施した。参加者が展示内容への理解を深められるよう、展示会のみどころや、作品についての詳しい解説を行った。
首里城講座と連携し、展示会内容に関連する講座を開催した。当室や首里城公園管理部の学芸員のほか、沖縄県教育庁、沖縄県立埋蔵文化財センター、沖縄県立芸術大学附属研究所から講師を招き、新たな知見や研究の成果を発表いただいた。
*1琉球文化研究室
Copyright (c) 2015 Okinawa Churashima Foundation. All right reserved.