亜熱帯性植物の調査研究
遠藤達矢*1・下地紀靖*2・篠原礼乃*1・前川美紀子*3
植物を人間の健康や生活に役立てようとする試みは長らく行われてきた。それは人々の経験則に基づいたものであったが、科学的な調査は1970年代から盛んとなった。現在では、植物は人間の身体や心理、また空気の浄化など物理的環境の改善にも効果があることが明らかとなってきている。
現代はストレス社会ともいわれており、ストレスによって引き起こされる症状や疾患は社会的な問題となっている。とくに就業者のストレス改善は重要と考えられ、平成27年には厚生労働省が「ストレスチェック制度」に関する省令を施行した。今後もさらに、行政、企業、研究機関が連携したストレス改善に向けた取り組みの進展が期待される。
このような背景から、本研究ではオフィスに生じるストレスを植物によって改善することを目指し、本事業を開始した。本年度は、オフィスワーカーのデスクに植物(インテリアグリーン)を配置し、ストレスや心理の変化についての調査を行った。
予備調査は平成29年1月12日から、沖縄県内のA組織の同一課内に属する14名(男性7名、女性7名)を対象に行った。方法として、各人のデスクに床面積がA5サイズに収まるようなインテリアグリーンを配置し (写真-1) 、配置前、配置14日後、 配置28日後、配置42日後の計4回、唾液アミラーゼストレスモニターによるアミラーゼ活性測定、およびストレスが引き起こす心身の反応を調べる質問紙調査(簡易ストレスチェックシ‐ト)を行った(表-1)。調査期間中は、通常通り業務を行ってもらった。また14日目以降は、各人に水やり等の植物の世話を行ってもらった。
予備調査の結果、および対象となった職員から配置したいインテリアグリーンやストレスに関する意見のヒアリングをもとに、本調査を計画し行った。調査は平成30年1月23日から、沖縄県内のA組織に属する186名(男性95名、女性91名)に調査を依頼し行った。方法としては、予備試験時と同様にインテリアグリーンを配置し(写真-1)、配置前、配置60日後の計2回、ストレスチェックシートとPOMS2テストに記入してもらった。同時に、健康づくりチェック表を事前に配布し、各自の日常の健康への取り組み状況を調査した(表-1)。調査期間中は、通常通り業務を行ってもらった。また調査期間の60日間は、各人に水やり等の植物の世話を行ってもらった。以上の調査について、平成30年度内に解析を終え、結果を公表する予定である。
本研究に関連した講演会を平成30年3月3日に沖縄県立博物館・美術館にて行った。ストレスの定義や発生のメカニズム、関連する学術論文の紹介、および本事業について発表した。
*1植物研究室 *2名桜大学人間健康科学部看護学科 *3名桜大学人間健康学部スポーツ健康学科
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