普及啓発の取り組み
前田好美*1
近年、地球温暖化や生態系保全等の環境問題への対応、沖縄の自然環境や歴史風土を活かした観光及び産業の振興、公園利用の多様化等に対応した公園管理運営等の課題への対応が求められている。当財団では、これらの諸課題に対する調査研究・技術開発並びに普及啓発を拡充・推進し社会の要請に迅速に対応するとともに、地域・社会へ貢献するため、平成20年度より「調査研究・技術開発助成事業」を開始した。平成27年度に事業名を「沖縄美ら島財団 助成事業」と改め、調査研究・技術開発部門に加えて普及啓発活動部門を設置し、財団の設立目的にかなう調査研究・技術開発及び普及啓発事業を行う個人、団体に対して費用の助成を行っている。
助成対象となる研究分野は、「亜熱帯性動植物」、「海洋文化や首里城等、歴史文化」並びに「公園管理技術の向上」にかかる調査研究等とした。また、一般への普及啓発を目的とした事業等への助成として「普及啓発活動」部門を新設した。テーマの一覧は下記の通り。
平成28年4月15日から平成28年7月1日を応募期間とした。期間中に27件(動物系9件、植物系9件、歴史文化系4件、公園管理系1件、普及系2件、その他2件)の応募があった。平成28年8月2日の一次審査、9月6日の二次審査を経て、6件の事業への助成が決定した。採択事業は調査研究・技術開発部門5件(亜熱帯性動物に関する事業2件、亜熱帯性植物に関する事業1件、歴史文化に関する事業2件)、普及啓発活動1件で、初めて普及啓発活動の助成が採択された。採用事業は表-1のとおりである。
表-1 平成28年度 助成事業採用一覧
亜熱帯性動物に関する調査研究・技術開発
申請者 | 事業名 | 申請金額 | |
---|---|---|---|
1 | 富永 篤(琉球大学 教育学部 准教授) | イボイモリの保全に向けた基礎的生活史と分布の解明 | 500,000 |
2 | 宮城 里奈(琉球大学 ウミガメ研究会ちゅらがーみー 会長) | 慶良間諸島座間味島におけるウミガメ類の上陸・産卵および孵化率調査 | 610,000 |
亜熱帯性植物に関する調査研究・技術開発
申請者 | 事業名 | 申請金額 | |
---|---|---|---|
1 | 内貴 章世(琉球大学 熱帯生物圏研究センター 准教授) | 西表島の石灰岩地における希少植物ホットスポットを規定する要因の検証 | 716,000 |
歴史文化に関する調査研究・技術開発
申請者 | 事業名 | 申請金額 | |
---|---|---|---|
1 | 玉城 望(陶藝 玉城 代表) | 琉球王国時代の陶器生産の基礎的研究~湧田・壺屋初期の平窯再現研究を中心として~ | 995,600 |
2 | 吉村 健司(国立民族学博物館 外来研究員) | 沖縄県におけるカツオ文化の維持・継承のためのアーカイブ作成に向けた海洋民族学的研究 | 451,840 |
普及啓発活動
申請者 | 事業名 | 申請金額 | |
---|---|---|---|
1 | 山室 真澄(日本陸水学会 会長) | 沖縄の陸水底生動物図鑑出版事業 | 300,000 |
*1普及開発課
Copyright (c) 2015 Okinawa Churashima Foundation. All right reserved.