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  1. 2)一般向け、専門家向け講習会・講演会の開催
沖縄美ら島財団総合研究所

普及啓発の取り組み

2)一般向け、専門家向け講習会・講演会の開催

永田俊輔*1

1.はじめに

亜熱帯性動植物に関する知識の普及啓発の一環として、一般市民を対象とした「一般向け講演会・講習会」を開催した。さらに、ダイビング業者やエコツーリズム業者、調査研究者等に対象を絞り、専門的な内容で実施する「専門家向け講習会・講演会」を開催した。平成28年度は、一般向け講演会・講習会を8件、専門家向け講習会・講演会を3件開催したので、以下に報告する。

2.実施結果

1)一般向け講習会・講演会(8事業)

図-1「マングローブ湿地の環境と生物観察」実施の様子
図-1「マングローブ湿地の環境と生物観察」実施の様子

(1)サンゴ礁自然誌講座「マングローブ湿地の環境と生物観察」

  • 講師:永田 俊輔(普及開発課)
  • 実施日:平成28年10月1日
  • 実施場所:美ら島自然学校 教室A、名護市大浦川マングローブ

マングローブの多様な環境な環境やそこに生息する生物について野外観察を通して学習した。簡易な調査手法を用いて生物の生態分布を観察した。

図-2「サンゴ礁の磯観察」実施の様子
図-2「サンゴ礁の磯観察」実施の様子

(2)サンゴ礁自然誌講座「サンゴ礁の磯観察」

  • 講師:永田 俊輔(普及開発課)
  • 実施日:平成29年3月12日
  • 実施場所:総合研究センター視聴覚室、本部町備瀬海岸

サンゴ礁岩礁帯の多様な環境な環境やそこに生息する生物について野外観察を通して学習した。簡易な調査手法を用いて生物の生態分布を観察した。

図-3「おとなのためのやさしい植物学講座」実施の様子
図-3「おとなのためのやさしい植物学講座」実施の様子

(3)植物自然誌講座「おとなのためのやさしい植物学講座(初級)」

  • 講師:赤井 賢成(植物研究室)
  • 実施日:平成28年12月18日、平成29年1月22日、2月26日
  • 実施場所:総合研究センター視聴覚室

実習や観察を交えて、植物の調べ方や標本の作り方等を学習した。計3回の連続講座として実施した。

図-4「御前崎・大濱海岸のウミガメおよびその産卵地と沖縄のウミガメたち」実施の様子
図-4「御前崎・大濱海岸のウミガメおよびその産卵地と沖縄のウミガメたち」実施の様子

(4)沖縄の天然記念物シリーズ講演(14)「御前崎・大濱海岸のウミガメおよびその産卵地と沖縄のウミガメたち」

  • 講師:河津 勲(動物管理チーム)
  • 実施日:平成28年10月22日
  • 実施場所:総合研究センター視聴覚室

ウミガメの産卵地の大切さや、沖縄でみられる種類のウミガメについて分類・分布・生態・人との関わりなどを学習した。その上で現状を見つめ、保護や正しい活用などについて考える機会とした。

(5)沖縄の天然記念物シリーズ講演15「仲の神島 海鳥繁殖地と沖縄の海鳥たち」

  • 講師:河野 裕美(東海大学 教授 沖縄地域研究センター)
  • 実施日:平成28年11月26日
  • 実施場所:沖縄県立博物館・美術館 博物館講座室

海鳥の大繁殖地である西表島西方の無人島「仲の神島」について、そこで繰り広げられる海鳥たちの暮らしを学び海鳥たちの分類・分布・生態・人とのかかわりなどを学習して、その保護や正しい活用などを考える機会とした。

図-5「自然の面白さを伝えるために」実施の様子
図-5「自然の面白さを伝えるために」実施の様子

(6)講演会「自然の面白さを伝えるために」

  • 講師:盛口 満(沖縄大学教授)・山本広美(動物研究室)
  • 実施日:平成29年1月21日
  • 実施場所:美ら島自然学校 教室A

講演やワークショップを通して、自然の面白さに気付くヒントや伝える工夫について考える機会とした。

(7)講演会「自然と数学~自然や生き物と数学とのつながり~」

  • 講師:森田 真生(独立研究者)
  • 実施日:平成29年2月12日
  • 実施場所:美ら島自然学校 教室A

数学についての講演を通して、自然や生き物と数学との繋がりを考える機会とした。

(8)琉球玩具への招待5「風弾を作って揚げよう」
図-6「風弾を作って揚げよう」実施の様子

(8)琉球玩具への招待5「風弾を作って揚げよう」

  • 講師:西平 守孝(財団参与)
  • 実施日:平成28年10月1日、10月15日、10月29日、11月12日
  • 実施場所:首里城公園管理センター 会議室

沖縄の伝統的な凧に付随した玩具である“風弾”の特徴を学び、実際に作製した。全4回の連続講座で全工程を行った。

図-7「参加者企画のアクテビティー」実施の様子
図-7「参加者企画のアクテビティー」実施の様子

(9)環境教育指導者養成講座

  • 講師:後藤和夫(総合研究センター長)、真壁正江(普及開発課)
  • 実施日・開催場所:
    1回目 9月11日 海洋博公園
    2回目 10月23日 国頭森林公園
    3回目 11月26日 名護青少年の家

財団40周年記念事業の一環として、地域の産業振興及び人材育成を目的に、財団職員講師による環境教育指導者養成講座(プロジェクトワイルドエデュケーター資格取得講座)を開催した。
会場は海洋博公園の他に北部地域の各施設での出張講座とし、施設の利活用の促進を図るとともに、県内各所の環境保全活動団体及び教育関係者、環境業等の従事者の交流、スキルアップの機会を提供した。参加者の殆どがなんらかの教育活動及び自然保全活動の経験者であり、各実践プログラムの完成度も高く、参加者同士の交流、意見交換が活発に行われ、充実した講習となった。
また、関連従事者と当財団とのつながりの構築、財団の周知にもつながった。講習受講者からは、それぞれの活動する現場で、実際にプロジェクトワイルドを使った学習プログラムを実践した報告を頂くことができた。

 

2)専門家向け講習会・講演会(3事業)

図-8「サンゴシンポジウム」実施の様子
図-8「サンゴシンポジウム」実施の様子

(1)サンゴシンポジウム「サンゴの移植11-サンゴ移植の成功へ向けて-」

  • 実施日:平成28年12月8日
  • 実施場所:名桜大学学生会館SAKURAUM6階
  • 共催:名桜大学総合研究所
  • 後援:沖縄県、沖縄県サンゴ礁保全推進協議会、日本サンゴ礁学会サンゴ礁保全委員会

下記9題の講演を行った。

  1. 西平 守孝 (沖縄美ら島財団総合研究センター):サンゴ移植における失敗と成功の考え方 ―サンゴの移植11の趣旨説明をかねて―
  2. 比嘉 義視 (恩納村漁業協同組合):恩納村におけるサンゴ移植の新たな段階について
  3. 山里 祥二 (NPO法人コーラル沖縄):サンゴ植付け・10年間の試行錯誤
  4. 金城 浩二 (有限会社海の種):サンゴ種苗生産における選抜と育種の可能性 ―(有)海の種のサンゴ畑における取り組み―
  5. 藤原 秀一 (いであ株式会社):移植サンゴ生残のカギ ―底質と微地形―
  6. 中村 明毅 (沖電開発株式会社):沖電開発のサンゴ植付実績―海域別・種別の 実績紹介―
  7. 岡田 亘 (株式会社エコー):有性生殖法を利用したサンゴ移植技術の改善事例の報告
  8. 池田 智・木寺 莉菜 (ミスワリン):ワリンの森の成果と課題
  9. 中野 義勝 (琉球大学瀬底研究施設):サンゴ移植技術の成熟と サンゴ礁保全の次のステップ

講演会場の一角に展示スペースを設け、8団体からのポスター等の展示も行った。
講演後に行われた総合討論では、「サンゴ礁保全におけるサンゴ移植の在り方、将来に向けて」を議題として、活発な意見交換が行われた。

 

(2)講演会「ウミガメの繁殖メカニズムの謎にせまる」

  • 講師:河津 勲(動物管理チーム)
  • 実施日:平成29年2月19日
  • 実施場所:沖縄県立博物館・美術館 博物館講座室

当財団の調査・研究で得られた成果を交えて、ウミガメの繁殖生態、繁殖サイクルについて解説した。ウミガメの調査研究関係者を対象とし、専門性の高い内容で実施した。

 
図-9「サンゴワークショップ」実施の様子
図-9「サンゴワークショップ」実施の様子

(3)サンゴワークショップ「サンゴの分類と同定2017」

  • 講師:西平 守孝(財団参与)、永田 俊輔(普及開発課)、山本 広美(動物研究室)
  • 実施日:平成29年3月23日-26日
  • 実施場所:美ら島自然学校 教室A、名護市大浦川マングローブ

造礁サンゴ類の属レベルの分類と同定技術を習得することを目的に、日本に分布する約80属の骨格標本およそ1300点とテキスト、スライドを用いて、各属の骨格の特徴や同定する際の着目点について学習した。近年、造礁サンゴの分類体系が大幅に変更されたため、従来の体系と対比させながら解説を行った。同定スキル確認のために同定スキル習得度確認テストを2回行った。


*1普及開発課

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