普及啓発の取り組み
永田俊輔*1
亜熱帯性動植物に関する知識の普及啓発の一環として、一般市民を対象とした「一般向け講演会・講習会」を開催した。さらに、ダイビング業者やエコツーリズム業者、調査研究者等に対象を絞り、専門的な内容で実施する「専門家向け講習会・講演会」を開催した。平成28年度は、一般向け講演会・講習会を8件、専門家向け講習会・講演会を3件開催したので、以下に報告する。
(1)サンゴ礁自然誌講座「マングローブ湿地の環境と生物観察」
マングローブの多様な環境な環境やそこに生息する生物について野外観察を通して学習した。簡易な調査手法を用いて生物の生態分布を観察した。
(2)サンゴ礁自然誌講座「サンゴ礁の磯観察」
サンゴ礁岩礁帯の多様な環境な環境やそこに生息する生物について野外観察を通して学習した。簡易な調査手法を用いて生物の生態分布を観察した。
(3)植物自然誌講座「おとなのためのやさしい植物学講座(初級)」
実習や観察を交えて、植物の調べ方や標本の作り方等を学習した。計3回の連続講座として実施した。
(4)沖縄の天然記念物シリーズ講演(14)「御前崎・大濱海岸のウミガメおよびその産卵地と沖縄のウミガメたち」
ウミガメの産卵地の大切さや、沖縄でみられる種類のウミガメについて分類・分布・生態・人との関わりなどを学習した。その上で現状を見つめ、保護や正しい活用などについて考える機会とした。
(5)沖縄の天然記念物シリーズ講演15「仲の神島 海鳥繁殖地と沖縄の海鳥たち」
海鳥の大繁殖地である西表島西方の無人島「仲の神島」について、そこで繰り広げられる海鳥たちの暮らしを学び海鳥たちの分類・分布・生態・人とのかかわりなどを学習して、その保護や正しい活用などを考える機会とした。
(6)講演会「自然の面白さを伝えるために」
講演やワークショップを通して、自然の面白さに気付くヒントや伝える工夫について考える機会とした。
(7)講演会「自然と数学~自然や生き物と数学とのつながり~」
数学についての講演を通して、自然や生き物と数学との繋がりを考える機会とした。
(8)琉球玩具への招待5「風弾を作って揚げよう」
沖縄の伝統的な凧に付随した玩具である“風弾”の特徴を学び、実際に作製した。全4回の連続講座で全工程を行った。
(9)環境教育指導者養成講座
財団40周年記念事業の一環として、地域の産業振興及び人材育成を目的に、財団職員講師による環境教育指導者養成講座(プロジェクトワイルドエデュケーター資格取得講座)を開催した。
会場は海洋博公園の他に北部地域の各施設での出張講座とし、施設の利活用の促進を図るとともに、県内各所の環境保全活動団体及び教育関係者、環境業等の従事者の交流、スキルアップの機会を提供した。参加者の殆どがなんらかの教育活動及び自然保全活動の経験者であり、各実践プログラムの完成度も高く、参加者同士の交流、意見交換が活発に行われ、充実した講習となった。
また、関連従事者と当財団とのつながりの構築、財団の周知にもつながった。講習受講者からは、それぞれの活動する現場で、実際にプロジェクトワイルドを使った学習プログラムを実践した報告を頂くことができた。
(1)サンゴシンポジウム「サンゴの移植11-サンゴ移植の成功へ向けて-」
下記9題の講演を行った。
講演会場の一角に展示スペースを設け、8団体からのポスター等の展示も行った。
講演後に行われた総合討論では、「サンゴ礁保全におけるサンゴ移植の在り方、将来に向けて」を議題として、活発な意見交換が行われた。
(2)講演会「ウミガメの繁殖メカニズムの謎にせまる」
当財団の調査・研究で得られた成果を交えて、ウミガメの繁殖生態、繁殖サイクルについて解説した。ウミガメの調査研究関係者を対象とし、専門性の高い内容で実施した。
(3)サンゴワークショップ「サンゴの分類と同定2017」
造礁サンゴ類の属レベルの分類と同定技術を習得することを目的に、日本に分布する約80属の骨格標本およそ1300点とテキスト、スライドを用いて、各属の骨格の特徴や同定する際の着目点について学習した。近年、造礁サンゴの分類体系が大幅に変更されたため、従来の体系と対比させながら解説を行った。同定スキル確認のために同定スキル習得度確認テストを2回行った。
*1普及開発課
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