スマートフォンサイトはこちら
  1. 2)一般向け、専門家向け講習会・講演会の実施
沖縄美ら島財団総合研究所

普及啓発の取り組み

2)一般向け、専門家向け講習会・講演会の実施

永田俊輔*1

1.はじめに

亜熱帯性動植物に関する知識の普及啓発の一環として、前述の親子対象の自然教室や工作室、小学生以上対象の学習会と内容を区別し、一般市民を対象とした「一般向け講演会・講習会」を開催した。さらに、ダイビング業者やエコツーリズム業者、調査研究者等に対象を絞り、専門的な内容で実施する「専門家向け講習会・講演会」を開催した。平成27年度は、一般向け講演会・講習会を11件、専門家向け講習会・講演会を8件開催したので、以下に報告する。

2.実施結果

1)一般向け講習会・講演会(11事業)

(1)沖縄の天然記念物シリーズ講演11「オカヤドカリたち」

講師
仲宗根 幸男(琉球大学名誉教授)
実施日
平成27年6月20日
実施場所
総合研究センター 視聴覚室

沖縄の天然記念物であるオカヤドカリの形態や生態などの特徴についての講演を行った。

図-1「カンムリワシ」実施の様子
図-1「カンムリワシ」実施の様子

(2)沖縄の天然記念物シリーズ講演12「カンムリワシ」

講師
佐野 清貴(石垣青少年の家)
実施日
平成27年8月29日
実施場所
総合研究センター 視聴覚室

沖縄の天然記念物であるカンムリワシの形態や生態などの特徴についての講演を行った。

(3)沖縄の天然記念物シリーズ講演13「やんばるのカエルたちとイボイモリ」

講師
小原 祐二(おきなわカエル商会)
実施日
平成27年9月5日
実施場所
総合研究センター 視聴覚室

沖縄の天然記念物であるカエルやイボイモリの種類や生態などの特徴についての講演を行った。

図-2 「干潟の環境と生物観察」実施の様子
図-2 「干潟の環境と生物観察」実施の様子
(4)干潟の環境と生物観察

講師
西平 守孝(財団参与)、永田 俊輔、鈴木 瑞穂(普及開発課)
実施日
平成27年8月15日
実施場所
総合研究センター視聴覚室、名護市屋我地

野外観察を通じて、干潟地帯の多様な環境やそこに棲息する生物について学習した。

(5)マングローブ湿地の環境と生物観察

講師
西平 守孝(財団参与)、永田 俊輔、鈴木 瑞穂(普及開発課)
実施日
平成27年9月12日
実施場所
金武町ネイチャー未来館、金武町億首川

野外観察を通じて、マングローブ湿地帯の多様な環境やそこに棲息する生物について学習した。

図-3「ヤシガニ学習会」実施の様子
図-3「ヤシガニ学習会」実施の様子

(6) ヤシガニ学習会

講師
岡 慎一郎(研究第一課)
実施日
平成27年9月19日
実施場所
総合研究センター 視聴覚室

当財団の調査・研究で得た成果を踏まえ、ヤシガニの生体観察や実験を交えながら、形態・生態的特徴、生活史などについて講演を行った。

(7) 知っておきたい!沖縄のサメ

講師
佐藤 圭一(研究第一課)
実施日
平成27年10月17日
実施場所
総合研究センター 視聴覚室

深海ザメの種類や形態・生態的特徴などについて、サメ類の標本の観察や解剖を交えながら講演を行った。最近のサメ類の調査研究の成果を踏まえた内容で解説を行った。

図-4「沖縄のザトウクジラ」実施の様子
図-4「沖縄のザトウクジラ」実施の様子

(8) 沖縄のザトウクジラ

講師
岡部 晴菜(研究第一課)
実施日
平成27年12月27日
実施場所
総合研究センター 視聴覚室

スライド解説や標本の観察を通じて、ザトウクジラの生態などについて講演を行った。最近のザトウクジラの調査研究の成果を踏まえた内容で解説を行った。

図-5「漂着物の博物学」実施の様子
図-5「漂着物の博物学」実施の様子

(9) 漂着物の博物学

講師
宮本 圭(研究第一課)
実施日
平成28年1月9日
実施場所
美ら島自然学校 教室A。砂浜

当財団の生物標本の管理技術を交え、漂着物が調査研究の題材として貴重であることを解説した。

図-6「ちっちゃな子をもつお母さんのためのはまべさんぽ」実施の様子
図-6「ちっちゃな子をもつお母さんのためのはまべさんぽ」実施の様子

(10)ちっちゃな子をもつお母さんのためのはまべさんぽ

講師
鹿谷 麻夕(しかたに自然案内)、山本 広美(研究第一課)
実施日
平成28年2月27日
実施場所
美ら島自然学校 教室A、砂浜

自然環境や生き物に接する機会の少ない母親を対象に、環境や生き物への気づきの機会を提供した。浜辺の自然環境や生き物、漂着ゴミの現状について紹介した。

図-7「矢数と旗頭グヮーを作ろう」実施の様子
図-7「矢数と旗頭グヮーを作ろう」実施の様子

(11)琉球玩具への招待「矢数と旗頭グヮーを作ろう」

講師
西平 守孝(財団参与)
実施日
平成27年10月10日、10月17日、10月24日、10月31日
実施場所
首里城公園管理センター 会議室

沖縄の伝統的な“矢数や旗頭グヮー”の歴史や特徴を学び、実際に作製した。全4回の連続講座で全工程を行った。

2)専門家向け講習会・講演会(9事業)

図-8「造園施工管理技術検定試験(1・2級)学科試験受験対策講習会」実施の様子
図-8「造園施工管理技術検定試験(1・2級)学科試験受験対策講習会」実施の様子

(1)造園施工管理技術検定試験(1・2級)学科試験受験対策講習会

講師
福成 敬三(造園施工管理技術研究協会)
実施日
平成27年6月9日-11日
実施場所
総合研究センター 視聴覚室

造園施工管理技術検定の資格取得を目指している方、資格は持っているが知識を深めたい方、造園施工について学びたい方を対象に、造園施工管理技術検定試験(1・2級)の学科試験受験対策の講習会を実施した。

図-9「知らなかった!魚の不思議〜オスとメスはこうして決まる〜」実施の様子
図-9「知らなかった!魚の不思議〜オスとメスはこうして決まる〜」実施の様子

(2)知らなかった!魚の不思議~オスとメスはこうして決まる~

講師
中村 將(財団参与)
実施日
平成27年11月22日
実施場所
総合研究センター 視聴覚室

魚類の性決定の仕組みについて、最近の調査研究の成果を踏まえた内容で講演が行われた。ティラピア生体の解剖や観察、顕微鏡を用いた生殖器官の観察のほか、トラザメの稚魚(生体)の観察も行った。

(3)研究者交流座談会「軟骨魚類の生理学・繁殖学研究の発展にむけて」

講師
魚類研究者
実施日
平成27年11月28日-29日
実施場所
沖縄県立名護青少年の家、美ら島自然学校

研究者・水族館職員が互いに情報を共有し、材料と技術の相互補完を行うことによって、新たな研究課題へのアプローチを模索するための研究会を開催した。

(4) 沖縄ザトウクジラ会議2015~クジラの鳴き声の謎に迫る~

講師
岡部 晴菜、小林 希実(研究第一課)
実施日
平成27年11月27日
実施場所
沖縄県トラック協会

当財団の鯨類の野外調査や飼育を通して得られた情報を県内のホエールウォッチング事業者に紹介し、ホエールウォッチングにおける内容の質向上に役立てていただくことを目的に講演会とパネルディスカッションを開催した。

(5)平成28年度沖縄お魚ゼミ

講師
魚類研究者
実施日
平成27年11月28日
実施場所
沖縄県立名護青少年の家

県内魚類研究者の情報共有、相互補完による研究活動の促進・発展を目的として、県内各機関に参加を呼びかけ、学会形式の発表を中心とした交流会を開催した。

図-10「サンゴシンポジウム」実施の様子
図-10「サンゴシンポジウム」実施の様子

(6)サンゴシンポジウム「サンゴの移植⑩~沖縄のサンゴ移植活動:これまでの到達点と課題・展望~」

実施日
平成27年12月3日
実施場所
名桜大学学生会館SAKURAUM6階
共催
名桜大学総合研究所
後援
沖縄県、沖縄県サンゴ礁保全推進協議会、日本サンゴ礁学会サンゴ礁保全委員会

下記9題の事例報告を行った。

(基調講演)
①比嘉 義視(恩納村漁業協同組合)
サンゴの完全移植とサンゴ群集の再生への取り組み
②山里 祥二(NPO法人コーラル沖縄)
NPO法人コーラル沖縄の10年の歩みと今後
③金城 浩二(有限会社海の種)
サンゴ畑とサンゴの移植、そしてサンゴ礁保全−これまでを振り返りこれからに活かす−
④藤原 秀一(いであ株式会社)
着床具を用いたサンゴ移植技術−これまでとこれから−
⑤高嶺 翔太(沖電開発 株式会社)
沖電開発の植付活動(現状と改善点)
⑥岩村 俊平(株式会社 エコー)
環境保全措置としてのサンゴ移植技術の現状と展望
⑦酒井 一彦(琉球大学瀬底研究施設)
座間味阿真ビーチサンゴ移動:4年後の状況
⑧上原 直(NPO法人 グローイングコーラル)
これまでのサンゴとの関わりと、サンゴに期待していること
⑨池田 智・石川 梓(ミスワリン)
南の島のミスワリン 試行錯誤の4年間

事例報告の発表後には、基調講演及び事例報告の発表者による総合討論を行った。また、展示会場を設け、7団体からのポスター等の展示も行った。

参加者は主に環境調査会社職員及び環境保全活動に携わる方が多く、総合討論では「サンゴの移植活動の概要、問題点や展望等」を議題として、活発な意見交換が行われた。

(7)ここまでわかった!ウミガメの繁殖メカニズムの謎にせまる

発表者
河津 勲(研究第一課)
実施日
平成28年2月13日
実施場所
沖縄県立名護青少年の家 講堂

当財団の調査・研究で得られた成果を交えて、ウミガメの繁殖生態、繁殖サイクルについて解説した。ウミガメの調査研究関係者を対象とし、専門性の高い内容で実施した。

図-11 「知っているようで知らない 海藻は不思議!」実施の様子
図-11 「知っているようで知らない 海藻は不思議!」実施の様子

(8)知っているようで知らない 海藻は不思議!

講師
岩永 洋志登(沖縄環境科学分析センター)、山本 広美(研究第一課)
実施日
平成28年2月20日
実施場所
美ら島自然学校 教室A、海岸

 

当財団の調査成果も踏まえ、海藻の生体や標本等を用いて、海藻の種類や海藻の持つ特徴を解説した。

図-12「サンゴワークショップ」実施の様子
図-12「サンゴワークショップ」実施の様子

(9)サンゴワークショップ「サンゴの分類と同定2016」

講師
西平 守孝(財団参与)、永田 俊輔(普及開発課)、山本 広美(研究第一課)
実施日
平成28年3月17日-20日

造礁サンゴ類の属レベルの分類と同定技術を習得することを目的に、日本に分布する約80属の骨格標本およそ1300点とテキスト、スライドを用いて、各属の骨格の特徴や同定する際の着目点について学習した。近年、造礁サンゴの分類体系が大幅に変更されたため、従来の体系と対比させながら解説を行った。同定スキル確認のために同定スキル習得度確認テストを2回行った。

3.今後の展望

前年度に引き続き、ウミガメに関する講座を2つのレベルに分けて実施した。基礎的な内容を学べる講座(美ら海自然教室「ウミガメの秘密を探る」や美ら島自然学校での「ウミガメ」をテーマにした学習会等)と、より専門的な内容を学べる講座(本稿に記載した「ここまでわかった!ウミガメの繁殖メカニズムの謎にせまる」)である。

さらに本年度は、ヤシガニについても同様にレベル(対象)を分けた講座を実施した(海洋博公園で実施したものと、本稿で記載した「ヤシガニ学習会」)。今後は他の生物についても、レベルや対象を明確に区分し、それぞれの参加者のニーズに合った講座内容で実施することを検討していきたい。

今後は、当財団職員による講習会・講演会の実施と併せて、外部招聘講師による講演会等を実施し、より専門的な知見を得る機会や、関連分野の情報交換を行う場を提供するなど、亜熱帯性動植物に関する知識の普及啓発に努めたい。



*1 普及開発課

 

ページTOPへ