普及啓発の取り組み
篠原礼乃*1・前田好美*1
(一財)沖縄美ら島財団が平成24年10月に公益法人から一般財団法人に移行した際に定款の変更が行われ、海洋文化に関する調査研究・技術開発、知識の普及啓発事業を実施することが追加された。財団は設立以来、国営沖縄記念公園の維持管理を行ってきており、その中で海洋文化館の管理運営も行ってきたことから、これまでも海洋文化に関する調査研究及び普及啓発事業を実施してきていたが、このたび定款に記載されたことにより、組織体制を整え、よりいっそう本分野について事業を推進していくものである。
海洋文化館がリニューアルを行った後グランドオープンしてから1年を迎えたことから、それを記念し、海洋文化館内において講演会を行うこととした。海洋文化館の収蔵品の貴重性、リニューアルの経緯、今後海洋文化館が担うべき役割について、県内の関係者、公園利用者に対し講演を行い、海洋文化に関する知識の普及啓発を図るとともに、海洋文化館の利用促進を図ることも狙いのひとつとして実施した。
講師については、海洋文化館のリニューアルの際にアドバイザーとして総合的に監修に尽力された南山大学人文学部の後藤明教授を招聘し、「海洋文化館グランドオープン1周年記念講演会〜海洋文化館の40年、そして未来へ〜」と題した講演会を開催した。実施にあたっては海洋博公園の管理運営を担当する国営公園管理部の協力を得、公園主催事業として海洋文化館展示ホール内のステージにて計3回の講演を行った。開催日時は下記のとおりである。
参加者数は計72名(1)26名、(2)16名、(3)30名であった。
海洋文化館の歴史やポリネシア、ミクロネシア、メラネシアで失われつつあったカヌー制作技術の復興、海洋文化館展示品の収集にまつわる逸話、展示物がどのような検証を重ねたものかなどについて講演していただいた。また、講演後に展示物である大型カヌーを実際に見ながらの解説も行い、現地で失われつつあった建造技術や航海技術が沖縄において保存・展示されていること等に参加者は興味を持ったようであった。
講演会後にアンケートを実施したところ、「海洋文化館の魅力や展示物の重要さ、貴重さをはじめて知ることができた」「異国の文化を日本で保存、守ることができていることに驚きました」「船と航海術が文化であるというのは興味深かった」など、海洋文化館について理解を深めていただけたようだった。
関係各所への告知、声掛けを行っていたものの予約が少なく、参加者も定員に満たなかった。お客様より「内容はおもしろいので、講演タイトルなどもう少し内容がわかりやすいとより良いと思う」という意見もあったことから、キャッチ力のある告知チラシの制作等に留意し多くの方々に参加を呼びかけたい。
平成27年度より4カ年計画でスタートする第Ⅲ期中期事業計画において、海洋文化に関する調査研究・技術開発事業を推進することとしており、今後はその成果を活かした普及啓発事業を展開していきたい。
*1 普及開発課
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