スマートフォンサイトはこちら
  1. 9)新報サイエンスクラブ
沖縄美ら島財団総合研究所

普及啓発の取り組み

9)新報サイエンスクラブ

篠原礼乃*1・前田好美*1

1.はじめに

新報サイエンスクラブは、県内の小中学生が行う沖縄の自然や動植物に関する調査研究を対象に助成を行うものである。児童生徒の「科学の芽」を育み、環境の重要性や沖縄の自然環境への関心を高めるとともに、自然科学の研究者や環境学習・教育の指導者等、次代を担う人材の育成を目的として実施した。今年度は4回目の実施となり、昨年度に引き続き小学生20件程度、中学生10件程度を採用件数とした。

2.事業内容

1)募集および応募状況

平成26年5月20日(火)から6月16日(月)にかけて募集を行った。応募総数は43件で、小学生26件、中学生17件であった。6月27日(金)に審査会を開催し、全32件(小学生21件、中学生11件)が採択された。

2)オリエンテーション、OIST見学会

図-1 フォローアップセミナー
図-1 フォローアップセミナー
図-2 施設見学
図-2 施設見学

①第1回オリエンテーション

7月5日(土)、第1回オリエンテーションを開催し、事業の概要、助成金、スケジュール、発表会等について説明を行った。また、南九州大学の遠藤 晃教授を招き、研究の進め方等に関する講演を行った。

②研究レクチャー・フォローアップ&総合研究センター見学会

7月21日(月)、美ら島研究センター視聴覚室において開催した。始めに「野外調査を行う際の注意点」と題し、阿部篤志(研究第二課係長)による講演を行った。その後、小中学生の研究者を4グループに分け、センター職員も加わって研究の中間報告を実施し、グループ内で意見交換や研究を進める上での相談を行った。セミナー終了後には、美ら島研究センターの施設や標本を見学した(図-1,2)。

3)フォローアップ

本事業では、単に研究費用の助成を行うだけでなく、研究を進めていく中で疑問に思ったことや悩んでいることなどを解決するため、専門家に相談することができる「フォローアップ」制度を設けている。フォローアップについては、当財団職員や各分野の専門家が対応にあたっており、今年度のフォローアップ利用は8件であった(表-1)。

表-1 フォローアップ対応一覧

日付

内容

7/21(月)

オオジョロウグモに鳥肉を食べさせる

8/1(金)

ソードテールは性転換するのか?

8/22(金)

津波の研究

9/17(水)

グッピーと琉球メダカの観察記録
~ビオトープ作りに挑戦!!~

10/6(月)

アリのふしぎ

10/8(水)

食虫植物の生態

10/26(日)

イソヒヨドリの研究

4)研究発表会

平成27年1月31日(土)、琉球新報ホール(那覇市泉崎)において、研究発表会を開催した。調査研究に取り組んだ全31件の個人・団体が、研究成果をまとめたポスターを会場に掲示し、3グループに分かれてそれぞれプレゼンテーションを行った(図-3,4)。発表会では、研究者全員が発表者または質問者となり、活発な意見交換が行われた。ポスター発表終了後、識者からの総評として当財団参与 西平守孝が感想を述べた後、全員に参加賞が手渡された。

  • 図-3 研究発表会
    図-3 研究発表会
  • 図-4 研究成果を発表する研究者
    図-4 研究成果を発表する研究者

3.まとめ

本事業の特色となっている「フォローアップ制度」の利用促進を図るため、「研究レクチャー・フォローアップ&総合研究センター見学会」を開催した。参加した研究者や保護者の評価は好評で、アンケート結果からも「中間報告書を書くことで、今の状況を整理できたので良かった」等の感想が得られた。

採択された32件の研究者のうち、1件が研究者都合により辞退となったが、概ね計画通りに遂行された。今後の実施にあたっては、新聞紙面やFacebookなどの媒体を活かし、研究者の活動を積極的に公表することも検討する。



*1 普及開発課

ページTOPへ