普及啓発の取り組み
篠原礼乃*1・宮城幸織*1・前田好美*1
当財団は、平成24年10月に公益法人海洋博覧会記念財団から一般財団法人沖縄美ら島財団となった。その際、定款に新たに海洋文化に関する調査研究・技術開発事業を行うことを明記した。
そこで海洋文化に関する有識者懇談会を実施し、今後財団が行うべき調査研究・普及啓発とは何かについて意見を頂いた。
海洋文化に関する有識者懇談会では、沖縄国際海洋博覧会で提唱された沖縄及びアジア・太平洋地域における海と人のかかわりを文化的・歴史観点から捉え、海洋文化の保存と継承を行う視点から議論を行った。
懇談会は、太平洋部門と沖縄部門に分け2度にわたり行った。
当懇談会へは、平成19年度に海洋文化館のリニューアルにむけて内閣府国営沖縄記念公園事務所が行った基本計画更新等業務海洋文化館展示基本設計・実施設計検討業務のアドバイザーを招聘した。メンバーは次の通りである。
※海洋文化館は2013年10月にグランドオープンした。
後藤明:南山大学 人文学部 教授(全体監修)
石村智:独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 研究員(考古学)
大西秀之:同志社女子大学 現代社会学部 准教授(博物館展示)
桑原牧子:金城学院大学 文学部 准教授(装飾)
小西潤子:沖縄県立芸術大学 教授(音楽)
竹川大介:北九州市立大学 文学部 教授(漁労)
野嶋洋子:アジア太平洋無形文化遺産研究センター アソシエイトフェロー(食、調理)
丸山清志:株式会社パスコ 調査研究員(住)
宮澤京子:有限会社海工房(映像)
門田修:有限会社海工房(映像)
山田仁史:東北大学大学院文学研究科 准教授(信仰)
上江洲均:沖縄民俗学会 会長(民俗)
上田不二夫:沖縄大学 名誉教授(漁業)
千木良芳範:元沖縄県立博物館・美術館 副館長(展示)
板井英伸:沖縄大学地域研究所 特別研究員(舟・サバニ)
上原謙:NPO法人ハマスーキ 理事長(漁具・サバニ)
城野豊:NPO法人ハマスーキ 事務局長(漁具・サバニ)
当財団によるH27-30国営沖縄記念公園運営維持管理業務の受託が決定し、海洋文化館の管理運営を行うこととなっている。このことから、調査研究・普及啓発事業について当館の管理運営に資することを考慮し、懇談会当日は、初めに海洋文化館にて、展示物と関連性のあるプラネタリウム番組を視聴し、その後、海洋文化館の利用状況などについて財団職員より説明を行った。海洋文化館を視察後は、会場を総合研究センターへ移し懇談会を行った。
普及啓発事業については、図録や冊子などの作成についての要望や沖縄美ら海水族館に比べて海洋文化館の認知度が低い点について指摘があり愛称の公募や海洋文化館=プラネタリムのイメージをもっと定着させるべきであるとの助言があった。また、体験型イベントの充実として撮影用のサバニコーナーに海人のコスチューム、ウエーク(水かき)、ミーカガン(ゴーグル)などを設置することの提案や船のレプリカを制作し海でサバニ体験を行うなど具体的な提案を頂いた。その他、JICAやオセアニア地域の機関との協力を見据えた外部施設連携についての提言などがあった。
調査研究事業については、外部からもアクセスが可能なオンラインデータベースの要望や勉強会や研究発表会などの開催を求められた。また、現地の文化的実践保存団体・類似の博物館などとの連携による調査研究の実施や本部・今帰仁・名護における高齢者への聞き取り調査の実施などが挙げられた。
その他、調査研究は事業の要であり、質と量が共に求められるため人材の育成及び充実についても提言があった。
現行の海洋文化館案内解説員の理解を深め、より質の高いガイドを目指すため、解説員用の展示解説ガイドを作成した。海洋文化館リニューアルの際、設定した各ゾーンおよびコーナーの「展示概要」「展示のねらい」「展示項目」を取りまとめ冊子とした。
*1 普及開発課
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