普及啓発の取り組み
篠原礼乃*1・永田俊輔*1
当財団では、蓄積されたノウハウや研究成果等を社会に広く発信することを目的に、平成21年度より、一般向け教室として普及啓発事業を実施している。平成25年度は、主に親子を対象として、「美ら海自然教室」を8件、「美ら島自然教室」を3件、「美ら島・美ら海こども工作室」を3件、「連続講座」を1件開催した。また、学校、企業等から依頼を受け、持ち込み企画の受け入れや、講師の派遣、外部展開の事業等を実施したので以下に報告する。
沖縄の身近な場所で観察できる海生動植物について、形態や生態、生育環境などを実際に観察し、不思議や面白さを実感し理解することを目的として美ら海自然教室を開催した。
平成25年度は、「魚の赤ちゃんの世界」、「海の危険生物」、「貝の秘密を探る」等の8事業を開催し、147名の参加があった。主に研究センタースタッフが講師を務め、生物の生体や標本を顕微鏡を用いて観察したり、解剖をするなど、体験型要素の強い講座としたことで、生き物への興味・関心を与えるきっかけを提供できたと考えられる。
沖縄の身近な場所で観察できる植物や昆虫、川の生き物等について、生態や生育環境、不思議や面白さを観察し、理解することを目的として美ら島自然教室を開催した。
平成25年度は、「トンボとヤゴの秘密を探る」、「沖縄の川のいきものたちを源河川でさがしてみよう」、「紅茶の秘密を探る」の3事業を開催し、91名の参加があった。「紅茶の秘密を探る」については、長年、スリランカ等で紅茶に携わる仕事を手掛けてきたティーブレンダ―の方を講師として招聘したことで、より専門的で参加者の興味・関心の高い講座を提供できた。
沖縄で採取できる植物由来の材料や廃材等身近なものを用いて様々な玩具等工作物を制作し、沖縄の自然環境の豊かさや活用法を学び、創造性を養うことを目的として実施している。
平成25年度は、「空き缶でエコ・クラフト作り」、「木の実や種のアクセサリー」、「変わりカーブヤー 昆虫の凧を作ろう」の3事業を開催し、35名の参加があった。これらの工作室を通じて、沖縄の身近な自然素材や空き缶等の廃材を工夫して利用することで様々な作品ができることや、沖縄の伝統的な玩具作りについて普及できたと考えられる。
沖縄各地に伝わる伝統凧を学び、沖縄の自然・文化・歴史などを素材とした創作凧の作製に挑戦することを目的に、琉球玩具への招待「琉球絵凧と形凧を作ろう」を開催した。本講座は全6回の講座からなり、述べ37名の参加があった。
平成25年度は、名桜大学からの依頼により北部地区の中学生を対象とした宿泊学習の一環として、水族館飼育員の仕事についての講演等を行った。
この他に、神戸国際大学、とわの森三愛高校、韓国済州大学校等からの依頼をうけ、水生生物に関する飼育技術等についての講演や実習を行った。
学校、企業等からの依頼を受け、当財団の亜熱帯性動植物に関する調査研究成果等を社会に広く発信することを目的に39件の講師派遣を行った。“地域連携”や“人材育成”の観点から、今後も継続実施する。
7月14日(日)に那覇市おもろまち新都心公園周辺緑地帯で開催された「生物多様性まつり」にて、亜熱帯性動植物の特徴等に関するパネルや標本等を展示・解説した。また、8月3日(土)、4日(日)の2日間にわたり、宜野湾市コンベンションセンターにて開催された「夏休みこども自由研究inコンベンションセンター2013」においても、こどもたちの夏休みの自由研究のテーマとなりそうな題材を選び、総合研究センターの調査研究の成果等についてパネルや標本等を展示し、職員が解説を行った。また、1日2回の工作教室を開催し、サンゴの型取り染めを実施した。
今後も財団が蓄積してきた調査研究の成果の普及、沖縄の自然環境、生物に関する知識の普及啓発をより多くの方々に対し実施し、参加者のニーズを合った講座内容や開催方法等を検討することで、満足度の高い講座を提供していきたい。
*1 普及開発課
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