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沖縄美ら島財団総合研究センター[美ら島研究センター]

海洋生物の調査研究

ホホジロザメの不思議な繁殖方法に関する論文が掲載されました

ホホジロザメは世界の熱帯から寒冷域に生息する大型のサメで、最大で全長は6mに達します。映画ジョーズでも知られる有名なサメですが、その繁殖生態は謎に包まれています。現在知られているのは、繁殖様式は胎生で、胎仔は母親の子宮内で供給される無精卵のカプセルである栄養卵を捕食し、全長約1.3-1.5mに成長することです。しかし、妊娠したホホジロザメの研究例は少なく、科学的な知見を得ることは非常に難しいと言えます。沖縄美ら島財団の研究者らは、沖縄県内の漁協の協力のもと、定置網等で混獲された標本を詳細に調べた結果、ホホジロザメが極めて特異な繁殖方法を持つことを明らかにしました。
当財団の研究者らは、2014年と2016年に沖縄県内で混獲された妊娠メス個体を、漁協の協力により損傷の少ない状態で解剖し、その子宮や胎仔、子宮内の液体を分析しました。その結果、2014年に得られた妊娠初期のメスの子宮内に、これまで見たことがない形態を持つ小さなホホジロザメ胎仔6個体および、大量のミルク状の液体(以下 子宮ミルク)を確認しました。


  • 妊娠初期の胎仔(55cm)

  • 子宮内の液体から発見された胎仔

組織学的観察により、母ザメは妊娠初期に子宮内壁の絨毛組織から脂質を多く含んだ大量の子宮ミルクを分泌することが判明しました。子宮ミルクはマンタなどのアカエイ類においてみられる特徴で、今回初めてサメの仲間での存在が明らかとなりました。妊娠後期になると、子宮ミルクの分泌は停止し、子宮内の液体は透明になります。この段階になると、母ザメは大量の栄養卵を子宮内に供給し、胎仔は積極的にそれを摂食します。そのため、胎仔の胃は栄養卵で満たされて膨張し、約1.3-1.5 mに成長します。この段階になると、子宮内壁の絨毛組織は魚類の鰓(エラ)に類似した形態へと変化し、より多くの酸素を子宮内に供給するための機能に特化します。このように、妊娠期間内で子宮の構造と機能を複雑に変化させることがわかりました。


  • 妊娠初期の子宮内壁(矢印:ミルク状の液体の分泌)

  • 妊娠後期の子宮内壁の組織像(液体の分泌は無く、鰓状の組織に変化している)

今回の報告により、ホホジロザメの繁殖様式の一部が判明しましたが、その妊娠期間や繁殖場所、妊娠個体の分布、出産場所など、その生態の多くは未だ解明されていません。それは、本種だけでなく多くのサメにも共通した課題といえます。今回の研究の成果は、サメ類の多様性の研究や保全管理を行う上で重要なデータになると考えられています。

著者名

Keiichi Sato, Masaru Nakamura, Taketeru Tomita, Minoru Toda, Kei Miyamoto and Ryo Nozu(太字:財団職員)

題名

How great white sharks nourish their embryos to a large size: evidence of lipid histotrophy in lamnoid shark reproduction

雑誌名

Biology Open 2016 5: 1211-1215; doi: 10.1242/bio.017939

論文リンク

http://bio.biologists.org/content/5/9/1211

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