1. 国内4海域に来遊するザトウクジラの集団構造を解明!3,532頭分の写真を相互に照合

プレスリリース

国内4海域に来遊するザトウクジラの集団構造を解明!3,532頭分の写真を相互に照合

2022.12.09

一般財団法人沖縄美ら島財団(本部町)は、認定NPO法人エバーラスティング・ネイチャー(東京都小笠原村)、 一般社団法人小笠原ホエールウォッチング協会(東京都小笠原村)、奄美クジラ・イルカ協会(鹿児島県奄美市)、国立大学法人北海道大学北方生物圏フィールド科学センター(北海道函館市)、大阪大学サイバーメディアセンター(大阪府茨木市)と共同研究を行い、沖縄、小笠原、奄美、北海道の4海域(以下、国内4海域)で撮影されたザトウクジラ3,532頭分の尾びれ写真を、自動照合システムを用いて照合しました。
その結果、国内4海域に来遊するザトウクジラが共通の1つの集団であり、さらにその集団内に2つの小グループが存在する可能性が示唆されました。 日本周辺に来遊するザトウクジラは、現在も絶滅危惧集団とされており、国際自然保護連合(IUCN)や国際捕鯨委員会(IWC)からも情報の拡充が急務とされています。本研究の成果は、オンライン学術誌「PLOS ONE」に掲載されました。

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    ブリーチするザトウクジラ
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    1頭1頭異なる尾びれの特徴

発表雑誌

雑誌名

  • PLOS ONE

論文名

  • Interchanges and movements of humpback whales in Japanese waters:
    Okinawa, Ogasawara, Amami, and Hokkaido, using an automated matching system

著者名

  • Nozomi Kobayashi1, 6, Satomi Kondo2, Koki Tsujii3, Katsuki Oki4, Masami Hida5, Haruna Okabe1, 6, Takashi Yoshikawa5, Ryuta Ogawa2, Chonho Lee5, Naoto Higashi6, Ryosuke Okamoto3, Sachie Ozawa1, Senzo Uchida1, Yoko Mitani7
    1一般財団法人沖縄美ら島財団、2認定NPO 法人エバーラスティング・ネイチャー、3一般社団法人小笠原ホエールウォッチング協会、4奄美クジラ・イルカ協会、5大阪大学サイバーメディアセンター、6沖縄美ら海水族館、7国立大学法人北海道大学北方生物圏フィールド科学センター)

ポイント

  • ザトウクジラは、尾びれ腹側の特徴を用いて個体を識別することができる。
  • 国内4海域(沖縄、小笠原、奄美、北海道)で撮影されたザトウクジラ3,532頭分の尾びれ写真を、自動照合システムを用いて、海域間で照合したところ、海域間に複数の同一個体が発見され、国内4海域は、1つの共通の集団によって利用(交流)されていることが判明した。
  • 交流頻度には、海域間で差があること、また各海域にある程度の固執性があることから、集団の中に2つの小グループが存在する可能性が示唆された。
  • 本研究は、絶滅危惧集団とされている日本国内のザトウクジラの保全に向け大変重要な発見である。
代表研究者プロフィール
  • 小林 希実(こばやし のぞみ):
    一般財団法人沖縄美ら島財団総合研究センター動物研究室・主任研究員。博士(海洋科学)。2015年より現職。
    専門は鯨類の生活史、生物の音響行動学的研究等。
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お問合せ
一般財団法人 沖縄美ら島財団 企画広報課 川満・知念
TEL:0980-48-3649 / E-mail:oki-pr@okichura.jp

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