1. 3,000kmを超える大回遊!北海道と沖縄で同一のザトウクジラ個体を確認

プレスリリース

3,000kmを超える大回遊!北海道と沖縄で同一のザトウクジラ個体を確認

2020.09.10

一般財団法人 沖縄美ら島財団総合研究センター(沖縄県本部町)は、これまでロシアやフィリピンの研究機関との共同研究において、ザトウクジラがロシア、沖縄、フィリピン間を回遊していることを解明しています。この度、新たに国立大学法人北海道大学北方生物圏フィールド科学センター(北海道函館市)との共同研究を行い、沖縄周辺と北海道周辺海域で撮影された写真を基にザトウクジラの同一個体を発見し、ザトウクジラが回遊中に北海道沖を経由することを示唆する新たな報告を行いました。本研究の成果は、日本哺乳類学会の学術誌「哺乳類科学」に掲載されました。

発表雑誌

雑誌名

  • 哺乳類科学

論文名

  • ザトウクジラの南北回遊:北海道東部太平洋沿岸の個体が沖縄の識別個体と一致
    The North - South migration of humpback whales: Photo identification match of an individual
    from the Pacific coast of eastern Hokkaido and breeding areas in Okinawa.

著者

  • 三谷曜子1、小林希実2、岡部晴菜2
    1国立大学法人北海道大学 北方生物圏フィールド科学センター、2一般財団法人沖縄美ら島財団)

掲載号

  • 掲載号:第60巻 第2号(2020年7月)

ポイント

  • ザトウクジラは、尾びれ腹側の特徴を用いて個体を識別することができる。
  • これまでの共同研究で、ロシア沖縄間で69個体、フィリピン沖縄間で100個体の同一個体を確認。
  • 2018年10月15日、北海道釧路沖で発見されたザトウクジラ5頭の内、1頭の尾びれの写真と過去に沖縄周辺海域で確認された個体の尾びれの写真を照合した結果、一致した。
  • 上記個体は、ロシア等の摂餌海域から沖縄等の繁殖海域への南下回遊(移動)の途中に、北海道釧路沖に来遊し確認されたと考えられる。北海道と沖縄でザトウクジラの同一個体が確認、学術的に報告されたことは今回が初めてであり、現時点で明らかとされていない広範囲なザトウクジラの回遊経路を解明する上で大変貴重な発見である。
研究者プロフィール

小林 希実(こばやし のぞみ):
一般財団法人沖縄美ら島財団総合研究センター動物研究室・研究員。博士(海洋科学)。2015年より現職。
専門は鯨類の生活史、生物の音響行動学的研究等。

岡部 晴菜(おかべ はるな):
一般財団法人沖縄美ら島財団総合研究センター動物研究室・研究員。2006年より現職。
専門は鯨類生態学、鯨類の目視調査・ストランディング調査、動物標本の作製・管理等。

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お問合せ
一般財団法人 沖縄美ら島財団
企画広報課 仲宗根・宮内
TEL:0980-48-3649
E-mail: oki-pr@okichura.jp

 

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