亜熱帯性植物の調査研究
ドリアンは栽培適地が極めて限定的な、熱帯の常緑性高木果樹である。国内での栽培・結実事例は非常に少なく、可食大まで肥大した報告は、平成30年度の本研究室の報告のみであり、開花結実に関するノウハウの蓄積が期待されている。(一財) 沖縄美ら島財団が管理運営する、熱帯ドリームセンターではドリアンのコンテナ栽培を行っており、平成30年から4年連続で結実に成功したため、開花結実の様子および収穫された果実品質について報告する。
1)供試品種
現在熱帯ドリームセンターにて栽培管理されているドリアン3品種について、調査を行った。
(1)Kho qua xanh
(2)Sua bo
(3)Monthong
2)調査方法
(1)開花および結実の観測
開花期間と開花数の記録、人工授粉の実施による結実の有無を記録した。
(2)果実の特性評価
果実の縦径および横径、重さおよび糖度を測定した。
1)開花および人工授粉
Sua bo種が4月中旬から5月中旬、Kho qua xanh種が5月上旬から6月中旬、Monthong種が6月中旬に開花した。Sua bo種では、4月中は開花種が1品種のみであったことから、自家受粉を試み、110個中3個に子房肥大が見られたが、いずれも奇形もしくは小さいままで、可食大に至らなかった (表-1(2))。今年度は、3品種全てで完熟果を得ることができたが、いずれも、他家受粉によるもので、過年度の調査結果からも、ドリアンの果実を得るには、他家受粉が有効であるといえる。交配から落果までの日数は、Koah qua xanh種で平均110日、Sua bo種で平均118日、Monthong種で108日となった。
2)収穫された果実の計測および糖度の計測
結実を確認したものからさらに摘果を行い、Kho qua xanh種6個、Sua bo種4個、Monthong種1個の完熟果を得ることができた (表-1)。
完熟果の品種ごとの大きさ、重さ、Brix糖度の比較では、クリーミーな甘さで定評のあるMonthong種が大きさ、重さ、糖度ともに高い結果となった (表-2)。
今年度は、初めてMonthong種の結実に成功したことから、樹体の成長とともに、今後も毎年結実が期待できる。一方で、今年度は収穫後に着果枝の枯死が見られ、冬期にかけて樹勢が弱る傾向が見られた。熱帯ドリームセンターでのドリアン栽培は、来館者の利用満足度及び魅力向上を図るため、継続した展示が重要であり、毎年着果枝が得られることが望ましいことから、樹体に対する適正な着果数の算出及び樹勢回復の方法について、検証を続けていく必要がある。
*1植物課 *2植物研究室
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