一般財団法人沖縄美ら島財団は、1975年7月に設立された公益財団法人の海洋博覧会記念公園管理財団が前身で、2012年10月に一般財団法人に移行した。
財団は経営理念を「美らなる島の輝きを御万人へ」とし、調査研究・技術開発・普及啓発を総合的体系的に進めるため、2008年12月に総合研究センターを設置した。
組織は、参与、研究顧問、センター長、統括、普及開発課、動物研究室、植物研究室、琉球文化財研究室、美ら島自然学校で構成され、総勢39名の体制である。組織の中枢機能を担う調査研究機関を有することが、財団の大きな特色である。
「環境問題への対応」「産業振興への寄与」「公園管理技術の向上」を通して社会に貢献すべく、社会的ニーズの高い事業の展開、豊かな自然環境や多様な生態系を維持するための事業の推進、植物の利用開発、海生生物の繁殖・育成技術の開発、受託施設の公園管理技術向上並びに地域への貢献を目指し、事業に取り組んだ。
動物研究室では、世界初の技術である「サメの人工子宮装置」を開発、植物研究室では希少植物の保全に関する調査を継続、分類学的研究により研究員が松下幸之助記念奨励賞を受賞した。また、中城村と島野菜生産振興における連携協定を締結、地域農業の活性化と島野菜の生産振興を目指す取り組みを行った。琉球文化財研究室では被災した美術工芸品の管理・修復の事業を実施、修繕業務とともに技術者の人材育成にも取り組んだ。
調査研究で得られた成果の普及啓発として、地域学校と財団が連携した学習活動を実施、海洋博公園をはじめ美ら島自然学校を利用したプログラムにより、施設利用も促進した。
沖縄県立博物館・美術館等では、「サバニ展」「さがそう!自由研究のタネ」「世界の切手でみるランの物語」「首里城美術工芸品の現状とこれから」などの各種展示会を実施したが、新型コロナウイルス感染症拡大を受け、当初予定よりも期間を縮小したり、オンラインを駆使した実施などに変更するなどの変更を強いられた。毎年実施している定期講演会「美ら島再発見~動物、植物、琉球文化から迫る~」についても、オンラインによる開催となった。沖縄美ら海水族館における普及活動として、冬季に水族館目前の海域に来遊するザトウクジラを教育ツールや観光資源として活用し、学術成果に関する特設展や販売グッズ開発、調査船とのライブ中継を交えたザトウクジラの学習会&観察会イベント等を開催した。
自然、歴史・文化等に関する調査研究及び普及啓発事業の内容、成果を効果的なものとするため外部評価委員会を開催、55件の事業について評価、助言を頂いた。普及啓発活動においては、コロナ禍等困難な状況下での実施の工夫が評価された。亜熱帯性動物調査研究に関しては、繁殖に関する成果が高く評価された。亜熱帯性植物調査研究では、島野菜等有用植物の保全等の成果が高評価、今後の産業振興への貢献を期待する意見があった。海洋文化に関する調査研究、及び首里城等に関する調査研究では、有形・無形の文化の保全、復元等の調査が社会貢献の面で高く評価された。各委員の評価及びコメントは、委員長により理事長へと報告された。
総合研究センター 沖縄県国頭郡本部町字石川888 沖縄美ら島財団本部内
美ら島自然学校 名護市嘉陽41
琉球文化財研究室 那覇市首里桃原町1丁目13番地
同分室(琉球食文化)那覇市久茂地1丁目8-8 琉球料理美榮付 琉球食文化研究所内
*1総合研究センター統括
Copyright (c) 2015 Okinawa Churashima Foundation. All right reserved.