海洋文化の調査研究
本事業では、地域と連携して沖縄を代表する木造漁船・サバニの造船・航海技術に関する調査・研究を行い、その保存・継承を支援することを目的として、令和2年度に南城市玉城字奥武の奥武島造船所に依頼して建造したサバニの建造工程に関する記録を企画展・一般向け講座などの実施に活用し、ひろく一般に周知した。
4月20日~6月27日の日程で沖縄県立博物館・美術館(おきみゅー)において展示会「沖縄の船サバニ 過去・現在・未来」を実施した。本展示会の設営作業では、県内のサバニ愛好家らの協力を得た(写真-1、2)。また、本展示会開催にあたり、パネル16点、追込網漁再現展示1セット、複製3点、映像1点、配布資料1点を製作・展示したほか、奥武島のサバニ建造技術に関する冊子をミュージアムショップにおいて販売した(写真-3)。
本展示会の開催期間中に短編の映像コンテンツ9本を制作して、おきみゅーのYouTubeチャンネルにおいて公開したほか、一般向け解説会4回、団体向け解説会3回、講演会2回(うち1回はインターネット配信)を実施した(写真-4)。
12月6日からは海洋文化館において奥武島のサバニを新たに展示し、12月9日にはサバニに関する講演会を実施した(写真-5、6)。さらに令和4年1月16日には総合研究センターの定期講演会において、サバニに関する講演を行った。
沖縄県立博物館・美術館で4月~6月に「沖縄の船サバニ―過去・現在・未来」展を実施し多くの入館者を迎えたが、緊急事態宣言の発出で中途終了となった。しかし、12月に海洋文化館での関連展示などアウトリーチ活動を展開した点は注目される。また、サバニの船大工や建造支援者などを結集して伝統技術の継承に努めた点は評価される(須藤顧問:堺市博物館 館長)。
沖縄の海洋文化であるサバニを中心とした研究、沖縄県内の各施設での展示あるいは展示への協力は望ましい発展形態だと思われる。国立民族学博物館のような県外施設からの認知度が上がってきているようで、今後もこの点を努力していただきたい。沖縄県内の観光業者が海洋文化館の認知度が低いと聞いたことがあるので、関係者の意識変化などがあるかどうかの聞き取り結果などを知りたい(後藤顧問:南山大学 教授)。
*1普及開発課
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