写真-1 ヒョウモンドジョウの域外保全（4年生）

(1)ウミガメから学ぶ環境学習
ア）名護市立小中一貫教育校　緑風学園
平成26年度に連携を開始した緑風学園では、3年生から7年生（中学1年）までの5学年を対象とした複数学年にわたる学習体制が確立している。学習は令和3年5月～令和4年3月にかけて行い、実施場所は緑風学園内施設、美ら島自然学校、学区内の河川や海岸等であった。学習は、3年生の「ウミガメ」をきっかけとし、4年で「川の生き物と環境」、5年「地域の食」、6年「イノーの生き物」、7年「地域の良さ再発見（調査）」と、地域の環境や文化を体系的に学ぶことを意識した学習展開を行った。今年度は、名護市三原区で発見されたヒョウモンドジョウの域外保全を緑風学校内の田んぼ（写真-1）で開始するなど、研究センター各室との連携を強化して学習を行った。例年通り、3月には口頭およびポスター等での成果発表を行った。

写真-2 島野菜栽培：おきなわ郷土村(4年生）


写真-3 公園紹介リーフレット（中3年生）

イ）名護市立名護小学校、稲田小学校
3、4年生を対象に、「イノーの生き物」や「ウミガメ」をテーマに学習を実施した。名護小学校では、1学期にイノーの生き物、2学期にウミガメを題材とした。センター職員が講師としてイノーの生き物や危険な生き物について解説した後、本部町備瀬区でのイノー観察会を実施予定であったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響をうけて中止となった。ウミガメの学習では、「生態や形態」「ウミガメをとりまく環境」について講義した他、ウミガメ幼体を用いた形態観察を行った（全5回）。稲田小学校では、国語科の授業と絡めながら、ウミガメの生態や環境問題について学習を行った（全3回）。

ウ）本部町立上本部学園
海洋博公園を活用した複数学年にわたる通年学習として事業を開始した。対象学年は小学4、5年、中学3年生とした。なお、中学3年生は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う授業計画変更により、園内活動を令和2年度に実施済みであり、今年度は学校内でのリーフレット作成（写真-3）のみ行った。
学習は令和3年7月～令和4年2月にかけて行い、実施場所は上本部学園内施設、海洋博公園内施設（おきなわ郷土村、おもろ植物園周辺）とした。学習構成は、既に海獣課と連携して実施している3年生の「ウミガメから学ぶ環境学習」をきっかけとし、海から川、人の暮らしを連動させることを意識づけした。各学年のテーマは、4年「地域の農業と自然」、5年「陸域の生き物と環境」、中学3年「地域の情報発信」としている。実施にあたり、海洋博公園内各施設の担当課および総合研究センター各課室の職員と連携し、事前学習や体験活動を行った。

(2)川の生き物教室
平成25年度より名護市立真喜屋小学校と連携して河川の環境学習を行っている。今年度も引き続き、小学校4年生を対象に年2回の学習会を行った。淡水魚に詳しい職員を講師として派遣し「沖縄の河川生態系について（概説）」、「地元のリュウキュウアユについて」について授業を行った後、野外学習として源河川での観察会を行った。

写真-4 出前授業：やんばるの自然と食文化（遠隔）
（名護市立大宮小学校）

２）短期学習プログラム（出前授業）
地域の環境や動植物および文化に対する興味関心を引き出すことを目的に、1～2回完結型の短期学習プログラムを、県内の小中学校および高等学校を対象に実施した。実施にあたっては、総合的学習の時間の他、国語や理科、社会の単元授業と関連づけた内容で構成した。令和3年度は県内9校から10件の依頼を受け実施した。学習テーマは「ウミガメ」「有孔虫」「漂着物」「やんばるの文化」等で、依頼内容に応じて総合研究センター職員を講師として派遣した。