亜熱帯性植物の調査研究
海洋博公園の地形は緩やかな海岸段丘となっており、海洋博覧会当時の植栽及び残存植生が混交した海岸林で形成されている。本調査では平成20年に実施された既存林地植生調査時点からの植生状況の変化と希少植物の生育環境状況を把握し、公園内の環境保全および環境教育、公園の管理運営に役立てることを目的として実施した。調査は令和元年12月24日~令和2年6月30日に実施した。
前回の調査で報告のあった主要な植物種10種50地点について、比較を行った。調査は生育状況を写真に記録し、生育個体数の記録を行った。なお、レッドリスト等の改訂により、希少植物より除外された植物についても記録を行ったほか、調査中に新たな希少植物を確認した場合、地点、写真、個体数の記録を行った。
10種の希少植物について67地点1,486個体が確認された。天然記念物及び種の保存法に該当する種は確認されなかった。前回の調査結果と比較すると、種類と種数に変化はないが、地点数は50地点から67地点と1.3倍に増加した。また個体数は640個体から1,486個体と約2.3倍に増加した。
当初予定の45の植生調査区に新たに設けた7つの植生調査区を加えた52の植生調査区で調査を行った。結果、前回調査より変化が確認されたのは8つの植生調査区であった。
植生遷移による変化が確認されたのは3つの植生調査区で、調査区No.1のオオバギ群落がアカギ群落に、No.3のギンネム群落がオオバギ群落に、No.24のキダチハマグルマ群落がクサトベラ群落に変化していた。消失が確認されたのは2つの調査区で、No.7のリュウキュウマツ群落が造成により消失しており、No.21のイソフサギ群落は優占種がないために消失していた。その他、優占種の変化が確認されたのは3つの調査区で、No.31のウコンイソマツ群落がコゴメマンネングサ群落に、No.38のハマゴウ群落がキダチハマグルマ群落に、No.44のオオイタビ群落がアメリカハマグルマ群落に変化していた。
今回の調査で海洋博公園内の海岸部は開発などの人為的な影響を受けていない自然度の高い植生が分布しており、県北部地域の自然海岸を示す重要な地域だと考えられた。今後も調査を継続し、自然植生の保全に努めるとともに、公園内の環境保全および環境教育、公園の管理運営に役立てていきたい。
*1植物課
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