1. 2)一般向け、専門家向け講習会・講演会の開催
沖縄美ら島財団総合研究所

普及啓発の取り組み

2)一般向け、専門家向け講習会・講演会の開催

伊藝 元*1・山本広美1*・木野沙央里*1

1.はじめに

亜熱帯性動植物に関する知識の普及啓発の一環として、一般市民を対象とした「一般向け講演会・講習会」を開催した。また、ダイビング業者やエコツーリズム業者、調査研究者等に対象を絞り、専門的な内容で実施する「専門家向け講習会・講演会」を開催した。平成31年度の実施件数は一般向け講演会・講習会11件、専門家向け講習会・講演会3件であった。

2.実施結果

1)一般向け講習会・講演会(11事業)

(1)一般向け講演会「研究室による講演」
概要:沖縄美ら島財団総合研究センターの職員が日頃取り組んでいる自然環境や文化財の保全や復元、また動植物に関する調査研究の成果を題材とした講演を行った。

ア)組踊における文化交流
講師:鶴田 大 (琉球文化財研究室)
実施日:令和元年11月30日
場 所:美ら島自然学校

イ)ウミヘビの謎~生活の場に海を選んだヘビのお話~ 講師:笹井隆秀(動物研究室)
実施日:令和2年1月11日
場 所:美ら島自然学校

ウ)家庭できる組織培養
講師:徳原 憲(植物研究室)
実施日:令和2年2月23日
場 所:美ら島自然学校

(2)総合研究センター活動報告会「美ら島再発見~動物、植物、琉球文化から迫る~
概要:沖縄美ら島財団総合センターの職員による沖縄の希少な動植物の保全、文化財保全・復元など、社会的ニーズを踏まえた様々な研究成果について発表した。
実施日:令和元年9月29日
場 所:沖縄県立博物館・美術館(おきみゅー)博物館講堂

発表者:伊藝 元(普及開発課)
タイトル:「沖縄の自然を学ぶ~貝類からのアプローチ~」

発表者: 勝連 昌子(琉球文化財研究室)
タイトル:「近世琉球における食のウトゥイムチ」

発表者:徳原 憲(植物研究室)
タイトル:「培養技術で琉球列島のランを守る」

発表者:冨田武照(動物研究室)
タイトル:「水族館発!サメの繁殖生態学最前線」

(3)琉球玩具への招待8「創作張り子を作ろう」
講師:西平 守孝(財団参与)
実施日:令和元年10月12日、10月19日、11月9日、12月1日
実施場所:財団那覇事務所(第1、2回目)
沖縄県立博物館・美術館(おきみゅー)博物館実習室(第3、4回目)
沖縄の伝統的な玩具「張り子」の技法を用いて、オリジナルの創作張り子を作製した。全4回の連続講座でデザインから作製までの全工程を各参加者で行い、完成した玩具の品評会を行った。どの参加者も積極的に参加する様子が見られ、時間の許す限り作品を製作し、互いの玩具作りについての情報交換を行うなど活発な創作活動が行われていた(写真-2)。

(4)「沖縄のこども凧 展示会+凧作りワークショップ カーブヤーと変わりカーブヤー」
講師:西平 守孝(財団参与)
実施日:令和元年12月24日(火)~28日(日)9時~18時(28日のみ17時終了)
場所:沖縄県立博物館・美術館(おきみゅー)県民ギャラリー1,2,3

沖縄の文化に触れる機会の一つとして、沖縄で古くから作られてきた伝統的なこども凧である「カーブヤー」の展示会を行った。財団参与の西平が作成した多彩なカーブヤーと、変わりカーブヤーを150点以上展示し、さらに作り方を教えるワークショップを計8回行った。
来場者からは「全て一人で作った凧だと知って驚いた」「どの凧もちゃんと揚がると聞いて、すごいと思った」などの感想が寄せられた。ワークショップ参加者からは、「凧の作り方がわかってよかった」「早く凧揚げがしたい」などの声が寄せられ、盛況のうちに終了した。

2)専門家向け講習会・講演会(2事業)

(1)サンゴ礁保全シンポジウム-分かったことを伝えよう!科学とコミュニケーションとサンゴ礁-
令和元年12月8日(日)13時~18時 実施場所:沖縄県立博物館・美術館(おきみゅー)博物館講座室
共催:名桜大学総合研究所
後援:沖縄県、沖縄県サンゴ礁保全推進協議会、日本サンゴ礁学会サンゴ礁保全委員会

下記5題の講演を行った(写真-3)。
①隆起サンゴ礁の島 喜界島における研究拠点形成とサンゴ礁を通した科学教育(喜界島サンゴ礁科学研究所 駒越太郎氏)
②地域を支える人づくり~白保集落のサンゴ学習~(WWF 橋本務太氏・NPO法人夏花 山口美樹氏・白保魚湧く海保全協議会 多宇明範氏)
③研究成果をサンゴ保全の現場に活かすには?(西海区水産研究所 鈴木 豪氏)
④沖縄島嶼地域における生物多様性研究と保全活動(沖縄県立芸術大学 藤田喜久氏)
⑤学生だからできた!多様な人々によるユニークな環境保全への取り組み(OIST トーマス真紀氏)

14回目を迎える本シンポジウムは、特に教育に携わる方・これから研究をする方・海や科学教育に関心のある方々に対して、科学情報の伝え方や、参加できる保全活動・継続的なコミュニケーションの方法を紹介することを目的として開催した。講演後、各団体および講師が各自の環境活動のデモンストレーションを行い、参加者との交流を深めた。アンケートでは「多様かつ積極的な活動に感銘を受けた」「交流する機会はとてもありがたい」「サンゴ保全に向けて、自発的に考えて行動したい」などの意見が寄せられた。

(2)サンゴワークショップ「サンゴの分類と同定2020」
講師:西平 守孝(財団参与)、野中 正法(総合研究センター統括)、永田俊輔(OSC株式会社)
予定日:令和2年3月19日-22日(新型コロナウイルスの影響により中止)

  • 写真-1「家庭できる組織培養」の様子
    写真-1「家庭できる組織培養」の様子
  • 写真-2「琉球玩具への招待」の参加者と作製張り子
    写真-2「琉球玩具への招待」の参加者と作製張り子
  • 写真-3展示会の様子
    写真-3展示会の様子
  • 写真-4「サンゴシンポジウム」実施の様子
    写真-4「サンゴシンポジウム」実施の様子

3.外部評価委員会コメント

一般から専門的な対象者への多様なテーマを提供しており、内容的にも充実していると思われる。今後テーマの検討に参加者の意向調査が必要である(池田顧問:琉球大学 名誉教授)。


*1普及開発課

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