亜熱帯性植物の調査研究
下地俊充*1・澤岻明彦*1・田代亜紀羅*2・端山武*3・稲田幸太*3・具志堅江梨子*3・高江洲雄太*4
ドリアン(Durian、Durio zibethinus Murr.)は熱帯の代表的果実である。今日まで栽培適地が極めて限定され、国内での開花事例はわずか数例、結実に至っては完全に結実したとの報告がない。当財団では2004年よりコンテナ栽培による開花結実を実現するべく栽培管理を行ってきており、今回、初結実が記録されたので報告する。
ベトナムより導入した3品種(Monthoong、Sua bo、Kho qua xanh)を対象に温室内で栽培試験を行った。
栽培は2004年〜2018年までの14年間実施し、展開葉数と落葉数より3つのステージを設定し段階的に行った。第1ステージは市販の尺鉢、第2ステージは60ℓコンテナ、第3ステージはFRPコンテナを用いた。
(1)樹体サイズの計測
樹高、樹幅、根元幹周を適宜計測した。
(2)展開葉数と落葉数の計測
毎月1回、展開葉数と落葉数の計測を行った。
(3)開花及び結実の計測
開花が見られたKho qua xanh種の開花期間と開花数の記録、人工交配の実施による結実の有無、果実の計測を行った。
今回の結果考察は結実を記録したKho qua xanhに対して記述する。
各ステージの植替時における根張り状況は、根鉢周囲全体に遍なく細根が張っている状況であり、特に底面には比較的根が集中しており太根も見られる状況であった。
ドリアンは、10mを超す高木で幹は直伸の性質を持つが、鑑賞価値向上と開花促進を目的に主枝を水平方向に誘引したことにより樹高を3m未満に抑えた樹形に仕上げた。
毎月の展開数と落葉数を数値化したことにより樹勢、根詰まり具合が推測され、肥培管理や植替するタイミングの判断材料として応用することができた。
2018年4月13日に花芽出蕾が確認され、41日後の5月23日に初開花が見られた。
人工交配は、樹体への影響も考慮し開花総数の半分程度に対して実施した。2果実に肥大が見られ、中でも開花初日の5月23日に交配した果実が最も肥大し、125日後の9月14日に落果した(写真-1)。
開花結実まで長期間を要したが過去14年間に渡る展開葉数、落葉数の計測データはドリアンのコンテナ栽培条件下での生育サイクルを推測する貴重な情報源となった。
(詳細は2019年9月島根大学にて行われる園芸学会にて発表予定)
*1総務部・*2植物管理チーム・*3植物研究室・*4沖縄熱帯植物管理株式会社
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