亜熱帯性植物の調査研究
赤井賢成*1
2018年4月から2019年3月の間、南大東・北大東島、小浜島、沖縄本島および屋我地島の水田とその周辺及び塩湿地を年1~3回踏査し、希少植物の生育状況を中心に情報収集を行った。本報では、調査結果の概要について報告する。
両島でカタバミ科カタバミ属の未記載と思われる植物を1種類発見した。
オオバフジボグサ並びにイシガキカラスウリの生育状況を調査し、生息域外保全に用いる種子を採取した。
名護市で学術的な記録としては130年ぶりとなるヤナギスブタと思われる植物の生育を確認した(花と種子を確認していないため種名は確定できていない)(写真-1-②)。また、恩納村で未記載と思われるオオバコ科シソクサ属とイネ科スズメノヒエ属の植物を各1種類確認した。
初記録の植物として、カワツルモ科のカワツルモ属sp.(写真-1-①)を確認した。なお、この植物がカワツルモの場合、沖縄本島で現存する2カ所目の産地となり、保全上極めて重要な場所となる。
南大東・北大東島のカタバミ科カタバミ属、沖縄本島のオオバコ科シソクサ属、イネ科スズメノヒエ属については今後詳細に分類学的研究を行い、未記載と確認された段階で、また、沖縄本島のヤナギスブタと思われる植物と屋我地島のカワツルモ科カワツルモ属sp.については種名が確定し次第、学会発表、学会誌への論文投稿を行い、研究成果を自然環境の保全や普及啓蒙活動に役立てていく。
なお、昨年の事業年報で報告したセキショウモ属sp.はコウガイセキショウモであることが判明し、共同研究者と共に水草研究会誌で発表した。
写真-1 ①カワツルモ科カワツルモ属sp.、②ヤナギスブタと思われる植物
課題設定、目的は明確であり、着実に成果を上げている。外部資金の助成も決定されており、今後が期待される(池田顧問:琉球大学名誉教授)。
*1植物研究室
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